Friday, June 26, 2015

ピケティの資本論 30: あとがき




*1

今回は、この連載を終えるにあたり、気になることを記します。
どうも長い間、お付き合い頂きありがとうございました。





< グラフ2.ピケティの「21世紀の資本」より >

このグラフに日本が選択を誤った背景が見えます。
グラフ中の赤枠(1900~1930年)と黄枠(1930年~)を見てください。
地域間で経済力の逆転が生じています。

かつて、日本が大陸進出を始め、米国との戦争を意識し出したのは1900年から1920年代にかけてでした。
当時、欧州が世界をリードしており、米国が強大になりつつあることを認識する人は少なかった。
しかし、両者の経済力は着実に逆転しつつありました。

1930年代、独裁者ヒトラー率いるドイツは隣国を侵略し始め、勢いは増すばかりでした。
こうして日本は米国を牽制する為に、快進撃を続けるドイツと軍事同盟(集団自衛)を結びました。
この結果は、皆さんご存じの通りです。


同じグラフ2の別の赤枠(1980~2010年)を見て下さい。
アジアとアメリカで同様の逆転が起きています。
同じ轍を踏む心配はないでしょうか。


日本で起きていること
最近、北朝鮮が潜水艦からのミサイル発射に成功させた報道がありました。
以前「私達の戦争 44」で指摘しましたが、日本海や太平洋からミサイル攻撃があると、日本のミサイル防衛はたちまち役に立たなくなります。
これは米ソの核開発競争でも実際に起きたことです。
これを受けて米ソは敵視しながらも話し合い、膨大な核開発競争へと移行しなければならなかったのです。
歴史は繰り返しているのです。
今回は北朝鮮の偽装かも知れませんが、いずれ現実になるでしょう。

人は見たくないものは見えないが、恐怖に駆られると見えないものが見えるようです。


現在、日本の国政選挙で一票の格差が問題になっています。
1996年に、全国の選挙区の最大格差は6.6倍がありました。
ある選挙区の人の意向は、他の7分の一の価値しかないのです。
これがどのぐらいまで是正されれば、私たちは平等と言えるのでしょうか?
最大3倍以下、2倍以下、それとも1.1倍以下でしょうか?

それでは経済格差はどのくらいが許容範囲でしょうか?
10000000倍、10000倍以下、それとも100倍以下でしょうか?

経済格差は伝染病のようなものです。
伝染病の蔓延を放置していると取り返しのつかないことになります。
富が権力と癒着し社会が疲弊し、やがて崩壊に至る例は歴史に繰り返されています。
私たちは未来の為に、拡大を防止し、その根(病原菌)を押さえ込む必要があります。


皆さんも、ピケティの「21世紀の資本」をお読みになることをお奨めします。

歴史を学び、現実を直視すれば、大きく未来を踏み外すことはないでしょう。

どうも御拝読ありがとうございました。





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