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Saturday, October 10, 2026

連載 国民の責任 5; 日本の戦争を振り返る

  


国が戦争を始めた時、「国民に責任があるのか」、日本と米国について考えます。

 

今回は、過去の戦争を理解し、問題点を拾いだします。

 

 

日本の戦争をどう見るか

 

日清戦争から太平洋戦争までの過程は、自己防衛、五族共和、アジア解放などの為であって、けっして侵略では無かったと信じている人もいる。

また、朝鮮半島や台湾の開発に尽力し、多くの資本投資を行い、貢献したと思っているかもしれない。

確かに、ほんの一面に限れば正しい。

 

しかし世界史を見れば、侵略国のやることは、どこも似たものです。

独立を叶えると称して内乱を援助し、侵攻地域を攪乱するのは常套手段です。

また侵攻した国に資本投資を行い、後で資源と穀物、さらに税金を搾り取ります。

日本が侵攻した国が受けた損害は、与えた利得よりも遥かに大きいと明確に言える。

台湾やパラオでは日本への印象が良いが、歴史的な事情があり特別です。

 

しかし見逃してはならないことは、一連の戦争で失われたものです。

満州事変から太平洋戦争終結までの犠牲者は、日本側で約310万人、相手国・アジア諸国側で1,000万〜2,000万人以上とされています。

さらに、これとほぼ同数の傷病者数があったことでしょう。

百歩譲って聖戦だとしても、あまりにも無辜の命が失われた事実からは逃れられない。

 

 

もう一つの視点があります。

満州事変から太平洋戦争終結までの戦域拡大過程を見れば、その真実が見えて来ます。

初期の重大な戦域拡大は、2度とも出先の士官の思い付きで始まり、その後は右往左往しながら続いたと言えます。

通常、戦闘開始は中央政府が命じるものですが、現地派遣軍が秘密裏に事件を起こし、相手国のしわざと偽り、攻め込んでいる。

そして陸軍中央は、これをほとんど処罰せず放置した。

これが二回続き、日中戦争へと拡大してしまい、泥沼から抜け出せなくなった。

ドイツでさえ、必ずヒトラーの命令で偽装事件を起こし、侵攻の口実にしています。

 

初期には、日本の仮想敵国はロシアとされ、朝鮮半島の確保を目指したが、いつの間にか陸軍は、米国対決を想定する南進派とソ連対決を目指す北進派で対立を深めた。

この二正面作戦の不可能を前提にしていた当時は、まだ自国の戦力不足を自覚していた。

この後、既に見たように三国同盟の罠に自ら飛びついて、破局を招くことになった。

つまり、日本が掲げていた五族協和は、空念仏に過ぎなかった。

 

 

もう一つ重要なことがあります。

 

それは日本が侵攻した国の人々の思いです。

少なくとも相手を無視して日本に非がないとか、賠償済みとか、言い募らないことです。

戦後賠償などの交渉時期によっては、相手側に不利なことがあります(独裁者が受諾)。

日本はどうしても島国なので、他国との終戦交渉において、ヨーロッパに比べれば、経験不足は否めないと思います。

これは外交官だけでなく互いの国民にも言えることです。

ここは丁寧に行っていく必要があります。

ドイツが手本になるはずです。

 

 

戦争は正義とは無縁だった。

 


  

我々は過去の戦争を反省しなくても良いのか

 

ここまで日本の戦争を振り返って、まだ反省の必要が無いと言える人は少ないだろう。

単純に、悲惨な戦争を2度と起こしたくないと思うのは人情です。

さすれば、過去の戦争の経緯を知り、なぜ戦争に深入りしていったのか、なぜ途中で引き返せなかったのか、と疑問に思うのは自然です。

 

 

再発を防止する視点から簡単に原因を挙げます。

 

1. 政府(内閣と議会)

a) 軍部大臣現役武官制;明治末に導入された制度ですが、陸軍がこれを悪用し、戦争拡大を押し切った。

b) 統帥権の独立;軍の権限は天皇に直属し、政府は関与出来なかった。

c) 陸軍と海軍の対立;薩長閥に始まり、異なる養成制度が仇となり、予算の取り合いで対立。

d) 陸軍の統率力の欠如: 中堅が暴発しても処罰出来ず、抑えられない。

 

2. 二大政党制の機能不全;単純に民主主義が根付いていなかったとも言える。混乱すると薩長閥、明治の元勲、天皇の力を借りることになった。

 

3. テロ・暗殺の横行;軍の下士官が徒党を組んで幾度も起こしたが、単独犯や右翼なども関り、和平を唱える人物はいつも危険に晒されていた。

 

4. 世界恐慌;10年間で3度の恐慌と飢饉は、国民の不満を海外侵攻に向かうのを是認することになった。

 

5. メディアと国民世論の同調;発展途上のメディア、軍部による美談化・煽情、政府による言論統制(治安維持法等)が相まった。

 

 

戦争の再発防止策

 

l 軍部が独走しないように文民統制を確立する。

l 民主主義を未熟なままにしない。

l 日本の組織は内に纏まり外部連携が困難なので、注意が必要(タテ社会)。

l 金融危機など大不況に用心する。日本だけの弱点ではない。

l 民主主義の基本である言論の自由を、いかなる時も確保する(非常事態宣言等)

 

 

まとめ

 

つまり、戦争を反省するとは、上記の再発防止策を心がけることです。

かつての被侵攻国への謝罪とは別に、2度と戦争を仕掛けないという姿勢を相手国に示すことです。

これが互いに平和を維持することになります。

これが現代を生きる私たちの責任なのです。

 

 

--目次---

 

1話;悪化の責任は誰に

2話;皇軍が選んだ道

3話;独裁に魅了された人々

4話;皇軍の軍人魂とは

5話;日本の戦争を振り返る

6話;軍備と敵について

7話;戦争に向き合う

8話;米国民へのお願い

 

 

 

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

Wednesday, October 7, 2026

 連載 国民の責任 2; 皇軍が選んだ道



 国が戦争を始めた時、「国民に責任があるのか」、日本と米国について考えます。

 

 

日本が戦争に至った道

 

日本が、かつて太平洋戦争に突き進み、世界と自国に多大な損害と苦しみを与えた。

約80年が経った今でも、隣国との軋みを感じる日々が続いている。

 

明治維新後、日本はいつから軍事独裁国家になり、大戦へと突き進んだのか。

1931年の満州事変以降、日本を戦争に引き込んだのは過激な陸軍中堅幹部達でした。

その後、良識ある政府要人や海軍首脳は戦線拡大を懸念し、大戦に繋がる日独伊三国同盟に反対し続けた。

反対理由は、同盟締結が米国を参戦に向かわせ、日本は米国の圧倒的な軍事力の前に敗戦確実と考えたからでした。

しかし陸軍のナチス・ヒトラーへの信奉ぶりは凄まじく、「勝ち馬に乗るべきで、三国同盟締結こそが米国の参戦を思い止まらせる」と考えた。

そして頻発する暗殺事件(5.15と2.26事件等の軍人蜂起)と盛り上がる世論は日本を飲み込んでしまった。

これは軍部が退役軍人会や右翼を用いて煽情し、憲兵を通じて国民を統制したことも大きく影響していた。

また戦争統帥部(天皇・軍部と内閣)の責任があやふやだったことも災いした。

もし満州から日中戦争へと拡大していなければ、日本は世界大戦に巻き込まれる事はなかっただろう。

 

 

何が問題だったのか?

 

この間、日本の上層部(内閣と軍部)は、独・米・ソの意図を幾度も読み間違い、甘い期待を持ち続け、特にドイツには見事に裏切られ、失敗を繰り返し、深入りしていった。

 

当時、海軍首脳の米内光政と山本五十六は、ナチスの敗退とヒトラーの裏切り、そして日本が米国に負ける事を想定していたので、三国同盟に終始反対していた。

米内(よない)は、世界各地の駐在経験とヒトラー「我が闘争」の読後感、またドイツの国情から、ヒトラーとドイツ軍事力は信じるに足らずと判断していた。

しかしながら当時、陸軍は気に食わなければ大臣入閣を拒否し、政治を麻痺させ続けたので、結局、同盟締結に引きずられてしまった(陸軍の行為は子供じみていた、トランプと似ている)。

陸軍はナチス・ヒトラーを信奉し、常に戦争継続を目論んだ。

この立役者は松岡外相と東条首相と言えるでしょう。

日本が日独伊三国同盟を締結した事と日本軍が南進(東南アジア侵攻)したことで、米国は日本にもドイツと同じ世界侵略の意図ありとし、日本との決戦を準備した。

 

 


 

「左から海軍の米内光正と山本五十六、松岡外相と陸軍の東条秀樹」

 

 

同盟締結の経緯で見えてくる狭量な軍人魂

 

同盟締結は米国との開戦を招いてしまった。

 

先ず、彼らは独裁者ヒトラーに完全に魅了されてしまっていた。

確かにドイツが一丸となり軍事力の急拡大、また当初の電撃侵攻には目を見張るものがあった。

しかし、彼らは、ドイツが海軍力と資源に乏しく英米相手の快進撃が継続不能だと読めず、さらにヒトラーをまったく疑わなかった事は致命的だった。

実際、ドイツは当初、日本と共にソ連を封じ込めようとしていたが、突如、ソ連と単独に和平条約を結び、さらにまた侵攻し敗北してしまった。

陸軍は裏切られたが、後の祭りだった。

日本の致命的なミスは、負けを取り戻す為に、もう一度だけ勝って有利な和平を結ぼうと戦い続け、負けを繰り返したことにある。

これは冷静に見れば不可能だった。

こうして原爆が投下されても、軍部は1億総玉砕で国土が灰になってもまだ戦おうとした。

また日本は真珠湾攻撃まで、和平工作と戦闘準備の両面で進んだが、連絡通信の暗号が解読されており、米国は日本の戦争準備を把握していた。

 

戦争を牽引した軍人達は、燃え盛る戦意だけは十二分にあったが、広く情報を集め冷静に分析する意識を持ち合わせていなかった。

 

 

当時の軍人の思い

 

初期において陸軍の脳裏にあったのは、米ソとの決戦に備え、満州を手に入れ、ここを橋頭堡にすることでした。

しかし欲をかいた一部の将校が、泥沼の日中戦争に突入させ、将兵の死者が45万人になった。

この不名誉を挽回せんが為に、米国提示の和平条件だった中国からの撤退が出来ずに、ずるずる深みにはまって、さらに甚大な被害を招いた。

そこで、頼ったのは力強く見えたナチス・ヒトラーだった。

そして日本はヒトラーに見事に裏切られ最後の一国になり、英米に加えてソ連の攻撃を受けて敗戦した。

 

愚策を選んだ人々は「ヒトラーに魅了された人々」であり、ナチス礼賛者だった。

明らかに、熱に浮かされた視野狭窄の多数が、視野の広い冷静な少数を追いやり、独裁者に付き従い、暴走していった決末が、太平洋戦争の敗戦でした。

ナチス・ヒトラーの悪行をみれば、幾つかの些細な長所があったにせよ、彼らに国を任せ、追従した指導者層の責任は重い。

少なくとも、ナチス・ヒトラーの危険性に気づいていた人々が、当時日本にいたのですから。

 

 

--目次---

 

1話;悪化の責任は誰に

2話;皇軍が選んだ道

3話;独裁に魅了された人々

4話;皇軍の軍人魂とは

5話;日本の戦争を振り返る

6話;軍備と敵について

7話;戦争に向き合う

8話;米国民へのお願い

 

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Saturday, September 26, 2026

短縮版  迫る多難な危機  第三章 3-5,3-6

 


「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」

 

この短縮版は、既に投稿済みの「迫る多難な危機」を、少し内容を割愛、分割して連載します。

 

まえがき

 現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。Make the world and people happy again!

 

 

--- 目次  ---

第3章 我々が直面している危機

 3-5 荒稼ぎし逃げ回るマネー

ここ10年間で荒稼ぎする横暴なマネー

  横暴なマネーは逃げ回る 

 3-6 地球温暖化を防止しなければ    

     温暖化を実感させる5つの事実

温暖化の原因が温室効果ガス排出である5つの証拠

温暖化が進んだ場合の10の重大被害

   人類が取るべき対策

まとめ

 

 

 

 

第3章 我々が直面している危機

 我々に幾多の大きな危機が迫りつつある。それらには歴史上繰り返され来た危機や、まったく未知の恐ろしさ秘める危機もある。これらの危機を見極め対処しなければ、一国の疲弊や破綻に留まらず、遂には人類と地球に大きな損害を与えることになるだろう。数多くの危機の中から、最重要なものを選んだ。

 

 

3-5 荒稼ぎし逃げ回るマネー

 

ここ10年間で荒稼ぎする横暴なマネー

 

 2006年、米国のヘッジファンドAmaranthが、天然ガス先物取引の失敗により約60億ドル(約7,000億円)もの巨額の損失を出して破綻しました。同ファンドは、天然ガス価格が冬に値上がりすることを見越して大量に買い保有しました。同ファンドの運用資産の65%を注ぎ込みました。2005年は大型ハリケーン「カトリーナ」の影響で天然ガス価格が暴騰し巨額の利益を上げたが、2006年は予想に反して暖冬傾向となり、ガス在庫が積み上がったことで天然ガス価格が急落した。しかし損切が出来なかった。同ファンドの天然ガス先物市場のシェアは数割にのぼり、買い手が少なく無理して売れば、さらに暴落するのは確実でした。こうして同ファンドは最大級の規模で破綻した。

 

 2010年のフラッシュ・クラッシュ(株価の短時間の急落回復)では、超高速取引(HFT)を使った異常アルゴリズムの連鎖によりわずか36分間で約1兆ドル(約150兆円)の時価総額が消失した。当初は、光ファイバー回線や専用アルゴリズムを駆使し、一般投資家や年金基金が注文を出した「その1万分の1秒前」に注文を察知し、先回りして株を買い、数銭でも高く買い手に売りつける高頻度取引が行われた。現在はその速度は10億分の1秒に達しているが、透明性を持って行われ、全取引の約60%がこの手法で行われている。また予測シミレーションを行うためのAI導入が加速している。

 


 2021年、GameStop事件、歴史的な株価暴騰劇が起きた。発端はヘッジファンドが、業績不振の会社GameStopの株価が下落すると予測し、猛烈な空売りを仕掛けた。個人投資家たちは、この「過剰な空売り状態」に目をつけ、ネット掲示板で団結して一斉に株を買いました。株価が予想に反して急騰したため、同ファンドは損失を抑えるために「買い戻し(損切り)」を迫られ、この買い戻しがさらに株価を押し上げる連鎖が起き、株価は一時、数週間で数十倍にまで跳ね上がりました(ショートスクイーズ現象)。同ファンドらは数十億ドルの損失を出し、後に閉鎖になった。この事件は、投資家が企業価値とかけ離れて株価を操り、利益を得ている好例であり、また個人投資家がSNSにより集団で市場を動かした事例となった。

 

 2021年、ヘッジファンドArchegosが崩壊し、世界の主要金融機関に総額100億ドル(約1兆円以上)を超える巨額の損失を与えた。その仕組みは、金融機関(証券会社や投資銀行)が代わりに株を購入し、同ファンドはその株の値上がり益や配当を受け取る代わりに、金利を支払う契約「トータル・リターン・スワップ(TRS)」でした。同ファンドは複数の金融機関と個別にTRS契約し、同じ銘柄に、自己資金を何倍にも膨らませ投資した(過大レバレッジ)。こうして同ファンドの資産約15億ドル、エクスポージャー(株価総額)約100億ドルから、1か月以内に、約360億ドル、約1600億ドルに一機に膨張した。しかし突如、集中投資していた株が急落し、金融機関は追加の担保を同ファンドに求めたが、これが出来ずに破綻した。この問題は、同ファンドが個人資産を運用する会社であり、株の大量保有の情報開示義務を回避出来た事です。

 

2022年、暗号資産Terra/LUNA が崩壊し、数日間で約400億ドル(約6兆円)の時価総額が一瞬にして消失し、次いで暗号資産市場全体で4500億ドルが吹き飛んだ。この二つの暗号資産は互いに補完し信用を得るようになっていた。Terraはドルとの連動と年利20%をうたい、多額の資金が流入していたが、危険を察知した大口投資家が大量売却に出た。するとTerraを保障するLUNAの暗号資産プログラムは、買い支える為に、無限に自動発行し続け、結局大暴落した。これは、元々ドルとの交換も年利20%も不可能なシステムであって、詐欺行為でした。問題は、このような詐欺まがいの金融商品が、次から次と生まれては、儲ける人と損する人が群がることです。

 

 

 

横暴なマネーは逃げ回る

 


 これまで横暴なマネーを見てきたが、膨れ上がったマネーを富裕層や企業がタックス・ヘイブン(オフショア、租税回避地)に隠す状況を見ます。試算で異なるが、タックス・ヘイブンに隠された世界の富は約13兆ドル、世界GDPの約12.5%になり、税金逃れは毎年約5000億ドル(74兆円)に上ると見られている。

 

米国の巨大IT企業(アップル、グーグル等)がアイルランド、オランダ、バミューダ諸島など複数の国の子会社間に特許使用料を付け回し、海外利益の法人税率を実質1%未満にまで押し下げたスキーム。法改正で塞がれるまで10年以上使われました。アップル1社だけで海外に積み立てた未課税現金は2,500億ドル(約37.5兆円)。

 

 租税回避の巧妙な手口を要約すると、先ずタックス・ヘイブンにペーパーカンパニーを設立し、会社→信託→財団→別会社→別銀行……という構造を作って、誰が本当の所有者なのか分からなくし、税逃れをしていた。これは違法ですが、見つけるのが困難なので、手が打てない。一つの回避地、パナマではペーパーカンパニーが21万社あり、世界200以上の国から、企業だけでなく政治家、有名人が名を連ねていた。

 

 これらには三つの問題があり、企業を呼び込むために税の免除や低減を行う国々や地域の存在、多国籍企業に課税する世界的なネットワークが未整備、この規制を阻害し続けている米国がある。

 

 

 

 

3-6 地球温暖化を防止しなければ

 人類が最悪の状況になるとしたら、独裁者が始めた核戦争か地球温暖化によると予想します。差し迫っている地球温暖化の脅威、その論拠とデマ、そして莫大な損害と急がれる解決方法について説明します。


温暖化を実感させる5つの事実

 

* 過去11年間が観測史上最も暑い11年

 2025年の世界平均気温は、1850~1900年平均より約1.43℃高い水準でした。さらに海洋の熱量も2025年に観測史上最高となっています。

* 2024年の地球平均気温は産業革命前より約1.5°C高い  

 世界気象機関によれば、2005~2025年の20年間、海洋は毎年、人類が年間に使うエネルギー量の約18倍に相当する熱を吸収しました。地球全体が巨大な熱の蓄積体になっている。

* 氷河・海氷・海面が実際に変化している

 世界平均海面は、衛星観測が始まった1993年以降で約11cm上昇しています。気候変動に関する政府間パネルIPCCは、2100年までの海面上昇を、低い方で約28~55cm、高い方で約63~101cmと予想しています。左写真はスバールバル諸島の氷河の写真で、氷河が数キロほど後退し、景観はまったく変わってしまった。

* 異常気象が世界各地で頻発している  

 猛暑、豪雨、干ばつ、山火事、海洋熱波、サンゴの白化が増加・深刻化している。温暖化が進むと、地球の気流や海流に変化が起こり、各地に乾燥・湿潤の極端な変化が生じる為に、異常気象が起こる。世界のサンゴ礁はこの70年間で50%以上喪失し、今後20年間で70~90%が消滅するとされている。当然、魚類も死滅します。

* 温暖化の被害は既に世界を脅かしている

 干ばつや水害、気候の変化により、コーヒーや小麦など身近な農作物の収穫量減少や品質低下がすでに始まっています。IPCCによれば、現在すでに33~36億人が気候変動に対して非常に脆弱な環境で暮らしています。このまま温暖化が進むと米国中西部のトウモロコシの生産量が最大40%低下する恐れがあると予測されています。

 


  温暖化の原因が温室効果ガス排出である5つの証拠

 温室効果ガス(CO₂・CH₄)が地球を覆う「毛布」となり熱を閉じ込めることは理論的・実験的に確認されている。  

* CO₂が急激に増えている

 産業革命以降、大気中のCO₂濃度は約280ppmから420ppm超へ急増。少なくとも過去80万年間で極めて高い水準です。この増加は化石燃料の燃焼によるもので、同様のペースで気温が上昇しています。

* CO₂は人類が排出した

 大気中のCO₂増加分の炭素同位体比を分析すると、化石燃料由来であることが明確に示されています。

* 気候モデルの一致

 自然要因(太陽活動、火山活動など)のみを考慮した気候モデルでは、1970年代以降の気温上昇を再現できません。人間活動による温室効果ガスを加えたモデルだけが、観測データと一致します。

* 放射力の衛星観測

 CO₂などの温室効果ガスが増えることで、地球から宇宙へ逃げる熱放射が減少していることが直接観測されています。

 

 IPCC第6次評価報告書(2021)では、1850〜1900年を基準とした2010〜2019年の温暖化(約1.1℃)のうち、人間活動による分は中心値で約1.07℃と推定されています。

 

 

* 自然現象(太陽活動・気候周期)は温暖化を起こしていない

 1800年代以降の急激な気温上昇は自然変動では説明できない。太陽放射エネルギーに変化はなく、むしろ成層圏は逆に冷え込んでいるので、現在の急激な上昇幅を説明できない。今は過去2000年で最速の気温上昇ペースで、自然要因(火山・太陽黒点)ではむしろ近年は寒冷化方向の影響が多い(複数の国連科学報告の総合評価)。気候モデルで「人為起源の温室効果ガス」を除くと現在の気温上昇は再現できない(IPCCの主要結論)。

 


  温暖化が進んだ場合の10の重大被害

* 海面上昇による沿岸都市の浸水(東京湾・上海・ニューヨークなど) → 年間数千億〜数兆ドル規模の資産損失

* 巨大台風・豪雨の増加によるインフラ破壊 → 年間数千億ドル

* 干ばつによる農業崩壊・食料価格の高騰 → 世界農業損失:年間数千億ドル

* 熱波による死亡増加(特に高齢者)→ 医療費・労働損失:数千億ドル

* 水不足による紛争・移民の増加 → 社会的コスト:数千億〜兆ドル

* 森林火災の増加(カリフォルニア・豪州など)→ 年間数千億ドル

* 生態系崩壊(サンゴ礁消失・生物多様性喪失)→ 観光・漁業損失:数千億ドル

* 感染症の拡大(蚊媒介疾患など)→ 医療・経済損失:数千億ドル

* 海洋酸性化による漁業崩壊 → 年間数千億ドル

* 世界金融市場の不安定化(資産価値の急落) → 数兆ドル規模の損失 

 

 被害額は温暖化の上昇温度によって異なります。ある2024年の研究では、3℃の温暖化で世界GDPが約10%低下すると推計しています。世界のGDPが110兆ドルとすると毎年11兆ドル規模(1700兆円)になります。現在の状況が続いた場合、2050年に世界GDPが最大14%、減少すると推計している組織もあります。

 

 

人類が取るべき対策

排出削減 化石燃料の段階的廃止(石炭→石油→ガス)、再生可能エネルギーの大規模導入(太陽光・風力・水力)、2010年以降、太陽光コスト90%低下、風力70%低下、建物・産業の省エネ化(断熱・高効率機器)、電気自動車・公共交通の拡大、メタン排出削減(農業・廃棄物・化石燃料)。

 

吸収源の強化 森林保全・植林、土壌炭素の増加(農法改善)、CO₂回収・貯留技術(CCS・DAC)、

 

適応策 海面上昇対策(防潮堤・都市移転)、農業の耐暑化・灌漑整備、水資源管理(ダム・地下水保全)、災害対策(早期警報・避難インフラ)。

 

国際協力 パリ協定の強化、炭素税の普及、気候資金の拡大(途上国支援)、技術移転・国際研究協力。

 

 

まとめ

 我々は既に地球を元に戻すことは出来ない状況にある。問題は、我々がどの程度の悪化で留めて、住める地球を次の世代に残せるかです。その責任は我々にある。そして米国の気候温暖化防止に対する背信行為が、人類を危うくしている。米国は温暖化ガス排出が中国の次に多いが、中国はパリ協定を批准している一方、トランプになると2回とも離脱している。

 

 最も恐ろしいのは、このまま悪化させてしまうと、例え排出を停止しても、地球は二度と元に戻らないことです。その悪影響は自然の回復力を遥かに凌いでいるのです。

 

 

 

---全体の目次---

第一章、世界に迫っている危機の要約。

第二章、人類はこれまでに危機に対してどう対処して来たか。 

第三章、我々が直面している重大危機。

第四章、米国の衰退と世界の危機回避能力喪失は一体。

第五章、如何にあるべきか。

第六章、成功している北欧は資本主義のもう一つ道。