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Friday, October 2, 2026

短縮版 迫る多難な危機  4-3

 


「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」

 

この短縮版は、既に投稿済みの「迫る多難な危機」を、少し内容を割愛、分割して連載します。

 

まえがき

 現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。Make the world and people happy again!

 

--- 目次  ---

 

第4章 緊急に対処しなければならない危機:米国の独裁化

 4-3 手強い相手

   破綻は不意に必ず訪れる

   歴史は繰り返す

   テクノ・リバタリアン(テクノファシズム)

   様々な経済理論

 

 


第4章 緊急に対処しなければならない危機:米国の独裁化


 既に見たように、今、世界は危機的な状況に突入しつつある。中でも、米国の独裁化が最も危険で、目前に迫っている。米国で右翼ポピュリズムが、なぜここまで力を得てしまったのか、その背景を見ます。そこには日米欧等先進国に通じる、新自由主義政策の欠陥が深く根付いています。さらに米国特有の病理(特徴的な宗教)が災いしています。

 

 米国が独裁化を回避し本来の民主主義に戻ることが、米国民を迷いと苦難から解放することになり、また世界が一致協力して、世界の危機に対処できるようになる。

 

 

4-3 手強い相手

 規制や監視を単純に強めるだけで、経済にブレーキを掛けず、国民の所得を上げ、暮らしを良くすることが出来るのかと不安に思うかもしれない。しかし、現状しか道がないと思うのは、詐欺師の思うツボです。異なる味方を紹介します。

 

 破綻は必ず不意に訪れる

 

 私は1970年代から、幾多のビジネス書、特に半年から数年先の経済を予測してきた本を読んで来ましたが、間違いなく予想を外している方が目につく、当たることはほぼない。著者の多くは投機家ではなく、当時著名な学者でした。例えば、昭和バブルの時代、5年かけて株価は4倍になり、景気は絶好調でした。しかし1990年にバブルが崩壊し、株価は半年ほどで半減し、当然、地価も景気も急降下でした。巨大企業は残れたが、暴利を貪ろうとした企業と人々は、夜逃げしたり、消えていった。貴重な資産を無くした人が周囲に何人もいた。暴落前後の土地と株式の日本全体の評価損はおよそ1400兆円、GDP3年分が吹っ飛んだのです。被害は甚大でした。これを当時、日本の識者は予測出来たと思いますか? 私は当時、関心を持って世情を見ていました。一部の人は投機に浮かれ、多くの人は投機に乗り遅れたことを後悔し、この景気は危険だと思っている人はほぼいなかった。一人のエコノミスト(経済企画庁内)は崩壊の1年前に、資産インフレへの危険性を著書で指摘していましたが、「1年後に崩壊する」という具体的な期日や大暴落には触れていませんでした。

 

 米国では、2008年のリーマンショック時、金融の神様と呼ばれたグリーンスパン議長でさえ、この崩壊を予見できなかった。彼は、後に米下院の公聴会で「市場の自己修正機能を過信し、自由市場モデルの欠陥を見抜けなかった」と発言している。一方で、数人のエコノミストは1~3年前ほどから異常に気づいていました。ただし暴落の期日の予想までは無理だったようです。これらのことから幾つかの教訓が得られます。トランプが株価を非常に気にしているように、これは株価が大統領支持に直結しているからです。国民の年金や資産の多くは株で運用されているからです。株式は最大の投機対象であり、投機家は借金で投資を行い、ついに国内の民間債務総額がある水準を越えると、過去に幾度も金融危機を起こしています。つまり、現状では金融危機は繰り返す運命にあるのです。バブル崩壊の詳細メカニズムは不明で、的確に予測出来ません。これまで金融危機は4~8年間隔で繰り返して来たのですが、今回は珍しく、リーマンショック以降18年以上も起きていないのです。単純に、マグマが大量に蓄積されていると私は恐れています。現在の経済状況は、絶好調と言うより、綱渡りに近いと考えられます。

 

 トランプの手腕は素晴らしく、期待できるのでしょうか。彼のビジネスキャリヤは汚点の連続です。彼の不動産事業は倒産の繰り返し、法の範囲ですが負債をかぶらず、また違法ギリギリのあくどい手段で入居者の追い出し、また税金をほとんど払っていない(開示を拒否している)。彼は悪徳弁護士なしで事業を継続することは無理だった。プーチンは、トランプが苦境の時、うま味のある案件を提示し助け続けている。トランプの人気はテレビ番組「アプレンティス」で造られたものでした。トランプは科学的知見がほとんど無いので、これからの産業革命を指揮するのは不可能だろう。それはコロナ蔓延時のあたふたぶりで証明済みです。

 

 

 歴史は繰り返す

 

 共和党やトランプの造り出した経済は、巨大企業と富裕層が巣くってしまった経済、また単に衰退しつつある経済になったと言う方が正しいかもしれない。少なくとも、この半世紀の間に大半の国民にとって良い経済ではなくなった。人類史上、大半の国民が経済も含めて上昇気流に乗れた時代があった。英米において19世紀後半から20世紀初頭だった。これは英国の産業革命の成熟期であり、遅れて米国の大量生産方式が進展した時代でした。労働者が始めて政府や権力に対峙して、交渉出来た時代だった。人類史上における画期だった。

 

 ところが反動が起きた。第二次世界大戦後、主に二つの事が欧米を揺るがすことになる。一つは、特に英国でしたが、20世紀初頭は福祉国家に近く、国有企業による財政赤字増大と労働組合による賃金上昇とストに困っていた。もう一つは、米国が、4回の中東戦争でイスラエルを支援したことにより、アラブ諸国が米国を封じ込める為に、OPEC(石油輸出機構)を創設し、原油価格を数倍に上げた。後に30倍を越えることになるが、ずーと後のことです。これにより世界は急激なインフレに見舞われることになった。また米国の保守層が、リベラル的な労働者・黒人・女性等の人権擁護により、社会・文化の急激な変化を恐れたようです。そこで保守層は、レーガンを前面に押し出し、インフレ対策として、金融操作(マネタリズム)を進める一方、一気に労働組合潰しを始めた。この時、英国と日本も同調し、国有企業と労働組合潰しを推し進めた。こうして、20世紀前半に一世風靡した労働運動と累進課税は終わりを告げたのです。つまり、かつての封建時代の惨状に状況に戻ってしまったのです。

 

 こうして見てくると、現在の米国の資本主義だけが、資本資本主義でないことが理解していただけると思います。実は、別に模範例があるのです。それは北欧諸国です。北欧は資本主義を基盤としています。当然ですが、自由市場、私有財産、海外貿易、労働組合(加入率7割)もあります。それに加え、手厚い再分配(医療費原則無料・学費無料・年金完備)がなされており、社会民主主義と呼ばれています。ただ税金は最も高い部類に属します。しかし日本と比べて、税金と公的な掛け金の合計の所得に対する比は、少し多いぐらいです。北欧は、この体制で、幸福度と一人当たりGDPのランキングで200ヵ国中、1位~6位ぐらいに入ることが多い。他の資本主義国より良いシステム、労使間の協調、転職の支援、労働者擁護、男女平等、小学校から環境・政治意識の高揚等があります。それでも、常時、システムアップを図っており、腐敗の無いのが一番です。

 

 つまり、今の米国の資本主義が最良では無く、様々な形があり、かつては別の形でうまく行っていたのです。

 

 

 

 

 テクノ・リバタリアン(テクノファシズム)


  ここ10年ほどで、国の舵取りに大きな波乱要因が加わった。それはテクノ・リバタリアンの出現です。イーロン・マスクやピーター・ティールなどがその代表で、「高度な数学的・論理的知能と巨額の富を持ち、最先端テクノロジーによって国家の規制を排した自由な社会を実現しようとする思想・人物」のことです。庶民が彼らの思想が危なっかしいからと遠ざけようとしても、政治は彼らの資金力と発信力を利用することになる、トランプが露骨に利用して来たように。大統領就任式の時に、名だたるGAFAの代表者たちが寄り添っていたのが、今の時代を象徴していた。トランプと一度決別したイーロン・マスクは、2026年の中間選挙で、また共和党支援に1億ドル以上を投じるとしている。残念ながら、彼の知名度と資金は、その思想の是非に関わらず大量の票を獲得するでしょう。そして、テクノ・リバタリアンの思い描く政策が実現したら、米国はどうなるのか? 懸念される点を整理します。

 

 先ず、彼らが目指す政治思想リバタリアニズム(自由至上主義)の問題です。これまで、米国の惨状は、自由放任の金融投機、寡占により機能しない自由市場、富裕層による政治支配、その結果として貧富の拡大が続いていると説明して来ました。ところが、彼らは公権力や国家の介入を極限まで排除し、個人の自由と自己責任の最大化を目指している。具体的には、自由な理想社会を造る為に、選ばれた天才だけが政治を担い、愚民は政治に口出さなくても良いと言うことになる。イーロン・マスクの現実の経営手腕、Twitter買収時の人権・倫理関連部門の全員解雇から、類推できる。

 リバタリアンにも様々な人物がいて、極端なケースでは、政府は不要でインターネット上で国民は平等に関り、暗号通貨で経済を回すとし、空想に近いものもある。言い換えると、天才と巨大資金による独裁から無政府主義まであり、共通しているのは、19世紀後半から20世紀前半、欧米が目指して来た自由民主主義とは相容れないもので、非常に危険です。



 歴史を振り返ると、同様の横暴な人物に振り回された事例がある。時代を牽引した二人の発明家兼経営者を例に挙げます。18世紀半ば、英国の産業革命に火をつけた一人アークライトは、水力紡績機の特許を取得し、これが近代的な工場制機械工業の先駆けとなった。彼が建てた工場では、何万人もの労働者が囲いに入れられ、厳しく管理された。労働者には時計の針のように規則正しい行動と単調な作業が強要され、人間の本能に逆らうような過酷な時間管理と労務管理の原型が作られたとされています。このような経営者の横暴が当時蔓延っていたからこそ労働運動が起きたのです。

 米国でも幾つか類似の事例があり、有名なのは自動車の大量生産システムを確立したフォードです。彼が労働組合を敵視し、組合を最後まで認めなかったことは有名です。私設警察・スパイ組織を作り、工場内に多数のスパイを潜入させ、労働者が組合の噂をしていないか四六時中監視させました。労働者同士が仕事中に私語を交わすことすら禁止され、違反者は即座に解雇されました。工場で、全米自動車労組が合法的なビラ配りを行おうとすると、雇われたギャングらが襲撃し激しい暴行を加えた。フォードは自分が思う労働者像に叶う場合は高給を出し、気に食わなければ即解雇しました。現代ではアマゾンも労働者に対して同様な振る舞いを見せていました。

 

 ここで成功している起業家の能力・性格について注意すべきことがあります。イーロン・マスクやピーター・ティールは素晴らしい能力を持っているが、自閉症傾向(アスペルガー症候群)が有り、シリコンバレーの起業家に多い。この傾向は、他者との意思疎通や感情の理解に困難をもたらす。従って、上述の二人の経営者にも言えるのですが、彼らは労働者、市民、弱者への共感に乏しい。ある心理学者は、経営者には社会性パーソナリティ障害が多く見られ、他者の権利を軽視し社会規範を守らない傾向があると言う。我々周辺にもブラック企業、ワンマン会社はあり、結構、成長しているケースがあります。つまり、共感力を持たないテクノ・リバタリアンは事業に専念してもらい、政治への直接参加は避けるべきなのです。

 

  

 様々な経済理論

 

 この半世紀、様々な奇抜な経済理論が生まれては消えていくのを見てきました。国の舵取りを大きく変える時に、学者に経済理論を並び立てられ、そちらは危険だ、こちらだと言われると返す言葉がない。しかし、実はほとんど失敗するか役立たずだった。幾つかの理論を簡単に振り返ります。

 

 最近では、現代貨幣理論があります。これは「自国通貨を発行できる政府は財政赤字を拡大しても破綻(デフォルト)しない」と言う、累積財政赤字トップの日本にとっては夢のような解決策です。数人の議員は、熱心に説き、大勢は無視です。私も惹かれますが、やはり怖い。提唱者は、通貨発行が大量になり、インフレが加速すれば、課税して抑え込めば良いと、唯一の欠点に対して、解決法を提示している。これが信用できない。理屈は簡単だが、政治的には簡単ではない。暗号資産についても同様の不安があります。暗号資産(仮想通貨)で良く言われるのが、ブロックチェーンは完璧なので贋金のような事態は起こらず、マイニング(実質的な通貨発行権)も管理出来ているので、順調に伸びるとされている。しかし、2016年、イーサリアムが約60億円ほど不正流出したのを皮切りに、その後も、様々な攻撃や不正流出が起きている。しかし最重要な事は、人類がこの300年間、国(中央銀行)が貨幣発行と管理で苦しんで来た経緯を考えると、雨後の竹の子のように、暗号資産が参入してくる事態は、とてもじゃないが許容できない。インフレ抑制のために貨幣供給量を減らすとか、失業者を減らす為に供給量を増やすとかの制御を適切に出来るはずがない。現状は、金儲けに目がくらんで、ねずみ講のように、先駆けた者が多くの利益を得られるからであり、今一つは資金洗浄の為に利用したいのでしょう。私には愚かな喧噪にしか映らない。

 

 レーガン政権が当時華々しく喧伝した「ラッファー曲線」と言うのがありました。非常に単純で分かり易いものでした。これは税率を下げれば労働や投資の意欲が高まって経済が活性化し、最終的には税収が逆に増加するという主張でした。私はあまりの単純さゆえに驚いた。しかし、結果としてこの政策は巨額の財政赤字(と貿易赤字)をもたらすことになりました。失敗は、国防費の巨額増、議会に拒否された社会補償費削減、FRBの高金利政策による景気の落ち込みが、大きかったようです。この理論はサプライサイド経済学(供給側の経済学)の一部ですが、この逆がケインズのデマンドサイド経済学(需要サイド経済学)です。実は、この半世紀はこの学派が対立し、レーガン以降、それまでのデマンドサイド経済学に代わってサプライサイド経済学に取って代わられたのです。サプライサイド経済学は、減税や規制緩和により、企業の生産意欲や供給力を高める。「モノを作れば売れる」という考え方がベースにあります。デマンドサイド経済学は、政府支出(財政出動)や減税などで、人々の消費や需要を刺激する。「買いたい欲求(有効需要)が経済を動かす」という考え方がベースにあります。ニューディール政策はデマンドサイド経済学の成功例でした。現状の悲惨さは、サプライサイド経済学によると言えます。

 

 これらの経済政策の失敗事例から学べる教訓は、経済政策や経済のコントロールは難しく、必ず修正が必要だと言うことです。しかも、修正の目的が国民の利益に叶うべきなので、民主主義が不可欠なのです。必ず、常時、民主主義体制が維持されている必要があるのです。独裁は絶対に避けなければなりません。

 

 

 ----全体の目次----

第一章、世界に迫っている危機の要約。

第二章、人類はこれまでに危機に対してどう対処して来たか。 

第三章、我々が直面している重大危機。

第四章、米国の衰退と世界の危機回避能力喪失は一体。

第五章、如何にあるべきか。

第六章、成功している北欧は資本主義のもう一つ道。

 

Saturday, April 16, 2016

何か変ですよ 40: 見たくない、知りたくないこと





< 1.震災を受けた熊本城 >

今日は、日本で起きている不可思議な現象を追います。
それは将来訪れる可能性のある身と経済の危険についてです。
人は往々にして見たくないものにはそっぽを向くようです。


熊本地震との関わり
2016年4月14日に発生した熊本地震は震度7で、非常に強い揺れでした。

気になるのは、この時発生した最大加速度が1580ガルと言うことです。
例えば、この値は鹿児島県川内原発の耐震性基準620ガルの2.5倍です。
この基準は福島事故を受けて372ガルから引き上げられた。

ここで気づいて頂きたいことは、加速度が基準値を超えれば原子炉を破壊することです。
例えば、地震の加速度「ガル」が2.5倍になると原子炉に想定の2.5倍の力が働きます。
これは配管から容器、燃料棒などあらゆる部品を破壊する力が2.5倍になることを意味します。



< 2. 原子炉の破壊 >
左図: 原子炉容器と配管の振動シミュレーション。
赤部が強度的に弱い所で、加速度が増えるとこの部分から破壊が進む。

右図: 福島原発事故。

日本の地震で2008年の宮城岩手内陸地震の4022ガルが最大でした(基準の6.5倍)。
重要なのは、マグニチュードや震度、地震の深さではなく原子炉に作用する加速度なのです。
揺れの時間は瞬間であっても破壊します。

日本列島では、いつどこで、どれだけの加速度の地震が発生するか分からないのです。




< 3. 失業率の推移 >

高卒の就職状況との関わり
現在、私は高校で教えており、就職状況の好転は歓迎すべきことです。
しかし、気になることがある。
それは生徒達がアバノミクスのおかげで良くなっていると思い込んでいることです。
事実は、そんな楽天的なものではなく将来に不安がある。

先ず、失業率が低下している理由を見ましょう。




< 4. 日本の人口推移 >

このグラフから厳密な説明は出来ないのですが、その理由は理解しやすい。
15~64歳人口(棒グラフの青色)の低下は14歳以下人口(緑色)の低下よりはるかに急激です。
これは高校から大学までの学卒の就職希望者より、団塊世代の退職の方が多いことに関連しています。
つまり、このギャップが学卒の就職を有利にさせ、失業率の低下になっているのです。

それでは、なぜ今起きたかと言うと、主に改正高年齢者雇用安定法で企業の定年が5年ほど遅れたことによるのです。
つまり今回だけ後回しになっただけなのです。

具体的な数字で確認しましょう。
2010年度で団塊世代人口(61~63才)は669万人です。
退職が4年遅れるとして、2014年度の就職可能な若年人口(20~22才)は373万人です。注釈1
3年間の需給の差は296万人不足、退職者が圧倒的なのです。

2015年の全学卒者(高校、専修学校、高専、短大、大学)232万で、就職希望者92万人です。
2010年度の60歳人口230万人、これが5年後に退職するとしたら、その需給ギャップは138万人不足です。
これが1年間で起きたかもしれないのです。

実際は、他の世代や女性の就労等で、全就業者数はわずかながら増加し、定年延長で日本社会は急場を凌いでいます。
しかし今、人手不足が高齢者の多い中小企業を直撃しているはずです。

実は、問題はこれからなのです。
グラフのような生産年齢人口の減少を食い止めない限り、日本は景気後退を深めるでしょう。
欧米は、主に移民労働者の受け入れでこれを防いで来ました。

理由は簡単で、労働人口が減り、国民所得と需要が減り、総労働人口の減少分に応じて企業は規模の縮小に向かわざるを得ない。
ここで企業の淘汰が起こり、倒産が増えます。
この現象は、一人当たりのGDPが変わらなくても、減少の過渡期において起きます。

今、大事なことは、皆さん一人ひとりが他人任せでなく、社会で起きていることを直視することです。


注釈1: 就職可能な人口の20~22才は、私が目安に設定した年齢で、各種学卒の比で決めました。





Monday, March 2, 2015

History of sickness and medical art 31: China 6


病と医術の歴史 31: 中国 6        




< 1. Bronze ware of Yin dynasty, the 14-11thcentury B.C. >
< 1. 殷の青銅器、紀元前14~11世紀 >

This time, I introduce a summary of Chinese medical art, and end it.
今回で、中国医学のまとめを行い、終わります。


< 2. “Dishes of Chinese food therapy”was stewed medicines in soup >
< 2. 薬材を煮込んだ薬膳料理、 >

The megatrend (mainly till the 1st century)
In ancient China, the medical art of empirical science gradually developed from medical art being mainly magic.
As for the recognition to physiology, there was an emphasis on heart and a body fluid theory same as other ancient civilization.
There were several phases of outstanding changes in medical art till the 1st century.
Doctors divided their treatments among medicine men in Imperial Court.
There was the activity of doctors who went around each country intended for common people also.
Some important medical books were published.
The etiology had a concept being close to human body at around the 1st century B.C., but after that, it united with a theory of mind by religion (Taoism) and it didn’t develop.
However, because they attached importance to the practice, Acupuncture, Moxibustion and Chinese herb were developed


大きな流れ(主に紀元前後まで)
古代中国において、呪術中心の治療から経験科学による医術が徐々に発展していった。
身体生理への認識では、他の古代文明と同様な心臓重視と体液論があった。
医学上、何段階かの目立つ変化、宮廷内での巫医と医者の分掌、庶民をも対象にした遍歴医の活躍、医学書出版などが紀元前に起きて発展していた。
病因論は、紀元頃には身体に密接した概念を持ったこともあったが、その後は宗教(道教)の精神論と一体となり、安住してしまった感がある。
しかし実践を重視した鍼灸と漢方薬では高みを極めることになった。



< 3. pulse diagnosis >
< 3.脈診 >

The characteristic of Chinese medical art, and the background
A: they did not identify a cause of the disease and decided the treatment policy by combination of plural symptoms.
B: they attached importance to disease prevention by raising natural healing capacity than treating the disease from outside.
C: in the disease diagnosis, the pulse diagnosis was developed especially.

In China, why didn’t the surgery develop? And why did the etiology greatly depend on the theory of mind?

Many religions of the world disliked the profanity of the body, and Confucianism prohibited the dissection like Christianity and Islam.
Therefore it is weak as a persuasive power that Chinese surgery didn’t develop by the prohibition of the religion.
Looking around the world, because pastoral tribe did not have resistance to the dissection than agricultural people, this may be a cause of it.

Another characteristic will originate in a reason that is pointed out in certain culture psychology.
People of the East Asia have a strong tendency that " can see forest but don’t look at tree " as compared with Westerner.
This seems to have led Chinese etiology that didn't identify one cause and saw the whole symptom.
This will become to the characteristic A.

中国医学の特徴とその背景
A: 一つの病因を特定するのではなく、複数の症状の組合せ「証」によって治療方針を決めた。
B: 病気を外部から治療するよりも、自然治癒力を高めることと病気予防を重視した。
C: 病気診断では、四診(観察、聴・嗅診、質問、脈診)の脈診が発達した。

中国ではなぜ外科手術が発達しなかったのか、また病気を全体で捉えるのは良いとしても、病因論(因果関係)がなぜ精神論に大きく依存してしまったのか?

世界の宗教は概ね身体の冒涜を嫌い、儒教もキリスト教、イスラム教と同様に解剖を禁止した。
だから宗教の禁則で中国の外科が発達しなかったとするのでは説得力が弱い。
世界を見ると、農耕民族より牧畜民族の方が解剖に抵抗はなかったので、これが一因かもしれない。

もう一つの特徴は文化心理学で指摘されてことが起因しているのだろう。
東アジアの人々は欧米人と比べ「森を見て、木を見ない」傾向が強い。
これは中国の病因論が、一原因に特定せず、症状全体を見ることにつながりそうです。
これが特徴Aに繋がるのだろう。




< 4. a symbol showing “Yin and Yang” and a temple of Taoism >
< 4. 陰陽を表す図と道教の寺院 >

In China, Yin and Yang philosophy (space or body unify and change by two opposed elements) began to be unified at about the 3rd century B.C.
And Confucianism and Taoism of two major religion of China theorized it.
Taoism greatly was developed during Tang Dynasties, and the prescription of perpetual youth and longevity was expected, but failed in Chinese alchemy (mercury poisoning).
The Buddhism being ascendant in those days had a systematized theory of mind (people’s understanding brings solace), and Taoism enhanced Yin and Yang philosophy to counter it, and it seems to be involved in medical art.
This will become to the characteristic B.

Still probably, the biggest factor was that China was on the Eurasian edge, and was shut from other advanced civilization with the large desert, the mountain range, and the sea for a long time, therefore it seems to cause.

From the next time, I see the medical art of the ancient Greece.

中国では、陰陽思想(宇宙や身体は二つの要素が対立し統合して変化する)は紀元前3世紀頃にまとまり始め、それが中国の二大宗教の儒教と道教によって理論化されていた。
唐の時代に道教は大きく発展し不老長寿の処方を期待されるが、錬丹で失敗した(水銀中毒)。
当時、覇を競っていた仏教は体系化された精神論(悟りが救いをもたらす)を持っており、道教はこれと対抗する形で陰陽思想を高め、それが医術に取り込まれたようだ。
これが特徴Bに繋がるのだろう。


それでもおそらく最大の要因は中国がユーラシアの端にあり、長らく砂漠と山脈、海に遮られ他の高度文明との交流が遅れたことが災いしたのだろう。
インドやローマとの交流はあったが、仏教など一部に限られていた


次回から、古代ギリシャの医術を見ます。



Sunday, February 1, 2015

History of sickness and medical art 30 : China 5


病と医術の歴史 30: 中国 5




< 1.  Soldiers of Sanguo Shidai of China >
< 1. 中国、三国時代の軍人 >

This time, I introduce medicament, cure, and Chinese alchemy.

今回は、薬剤と養生、錬丹について見ます。


Medicament
“Shennong Ben Cao Jing” is fatherless, the oldest book about materia medica, and was compiled during Later Han and Sanguo Shidai( the 2nd –3rd century).
This book sums up the knowledge and the treatment of the medicament from Zhanguo ( the 4th century B.C.).


薬 剤

「神農本草経」は作者不詳で、後漢から三国時代(2~3世紀)に成立した最古の薬物学書です。
この書は戦国時代(紀元前4世紀)からの用薬の経験と薬物学の知識を系統的にまとめている。



< 2. “Shennong Ben Cao Jing” >
< 2. 神農本草経 >


< 3. Ephedra >
< 3. 麻黄 >

In the book, there are 365 kinds of medicament, it is categorized as 252 plants, 67 animals, and 46 minerals, and majority of the efficacy is obvious.
For example, ephedra is antidiarrheal, seaweed is used to treatment of lump, glycyrrhiza is alexipharmic, and rheum is a laxative.   
The medicament is categorized into 3 groups.
It consist of 120 kinds of medicament having harmless but weak effect for recuperation, 120 kinds of medicament having harmless and effect for recuperation and treatment, and the rest is such as medicament for destroying tumors in the stomach but being harmful.
And it mentions the production area of medicament, the collection season, the processing process, the most suitable type (pill, powder, and it saturated in alcohol), the taking time, and the taking method.

Books about materia medica after the 3rd century were based on this “Shennong Ben Cao Jing”.
In plant medicament, it is well known as a certain kinds of hydrangea is suitable for malaria, ginseng is suitable for recovery of energy, and tetradium ruticarpum is suitable for ascariciding.
Some of the medicaments were from Egypt and India, and Southeast Asia.


薬物は365種あり、植物252、動物67、鉱物46に分類され、大多数は効能が確かである。
例えば麻黄は下痢止め、海藻は瘤の治療、甘草は解毒、大黄は通便など。
薬物を三種類に分け、無毒だが効果が弱く保養用120種、有益・無毒の保養と医療作用のある120種、残りが有毒で寒熱を除き、胃腸内の腫瘤を破るなどの医療作用があるとした。
また薬物の産地、採集時期、加工製法、適した剤型(丸、散、酒漬など)、服用時期、服用方法にも触れられている。

魏・晋代以降(紀元3世紀から)の薬物学の書は、この「神農本草経」を基礎にしている。
植物性薬剤では、ペストにダイフウノキ(高木の種)の油、マラリアにジョウサンアジサイ、精力回復に朝鮮人参、回虫にゴシュユ(低木)が良く知られている。
薬物にはエジプトやインド、東南アジア産のものも見られる。

Regimen

Many thinkers and medical scientists preached the regimen, and there were two points of view: "Let’s cultivate life with motion" or "Let’s cultivatelife with stillness"
" Hundred Schools of Thought" insisted that we have to be according to nature, and do the care of health about eating and drinking, and have the harmony of mind.
Tua Tuo created the exercises borrowing from five animal postures in Qigong。
“ Curing before becoming sickness” had been written in certain medical book.

養 生
養生は強壮・疾病予防・老化防止の大切な手段であった。
多くの思想家や医学者が養生法を説き、「静を以って生を養う」「動を以って生を養う」の二つの観点があった。
多くの「諸子百家」は自然に従い、飲食の摂生や精神の調和を主張した。
華陀は気功・導引から五つの動物姿態の模倣体操を編み出した。
「内経」は「未だ病まざるを治す」、すなわち疾病予防が養生上重要であるとした。



< 4. Chinese alchemy? >
< 4. 錬丹術? >



< 5. Cinnabar > 
< 5.丹砂 > 

Chinese alchemy and immortality
On the other hand, “Shennong Ben Cao Jing” included the knowledge of Taoism (thought of immortal), and showed the early state of Chinese alchemy.
In this book, it was written that mercury already had effect on the treatment of scabies and the insecticide of louse.
Chinese alchemy is to made the medicament for immortality by means of mixing and producing chemically change to metals such as mercury sulfide (cinnabar), gold or leaden.
A certain book of Taoism in the 4th century was the first important book about Chinese alchemy, and the chemical knowledge became abundance.
Chinese associated the elixir of immortality with remarkable changing of mercury from red ore of mercury sulfide (fig. 5) and the non-corrosive attribute of gold.
In ancient China, the people attached importance to living in this mortal world than afterworld.
Therefore, the First Qin Emperor had searched the medicament for immortality, in best days, kings of Tang (the 7-9th century) drank the medicament for immortality made by Chinese alchemy, and the many kings died by poisoning.
Before long, Taoism came to cultivate the immortality not by medicament of immortality but by Qi (spirit) of his body.
On the other hand, the abundant knowledge by Chinese alchemy developed the chemistry and the metallurgy, and then the world's first gunpowder was made in China in the ninth century.


錬丹と不老不死
一方、「神農本草経」には道教(神仙思想)が根強く、錬丹術の初期の様子が見える。
この書には、すでに水銀が疥癬の治療、虱の殺虫剤に効能ありと書かれていた。
錬丹とは、硫化水銀(丹砂)、金、鉛などの金属を化学変化させ調合し不老不死の薬を作ることです。
4世紀の道教の書「抱朴子」は錬丹術の初期の重要な書で、化学的知識も豊富になっていた。
中国では、硫化水銀の赤い鉱石(図5)から水銀への著しい変化、また金の非腐食性に生命の真髄を仮託した。
古代中国では、人々は死後よりも現世に生きることに重きを置いていた。
それが秦の始皇帝の徐福派遣(仙人探し)に始まり、最盛期、唐の王(7~9世紀)は錬丹家が作る不老不死の薬を飲用し、多くは中毒死した。
やがて道教は不老不死を薬でなく、人体内部の気で養う方向に向かっていった。
一方、錬丹術による豊富な知見は、化学と冶金学を発展させ、9世紀には世界最初の火薬が中国で作られた。