Sunday, September 20, 2026

短縮版 迫る多難な危機  第二章 2-4,2-5,2-6

 


「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」

 

この短縮版は、既に投稿済みの「迫る多難な危機」を、少し内容を割愛、分割して連載します。

 

まえがき

 現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。Make the world and people happy again!

 

 

--- 目次  ---

 

第2章 人類は危機にどう対処したのか?

2-4 繰り返される金融危機・恐慌      

2-5 金融危機を招いた悪辣なマネー 

  金融危機対応から見える金融経済の問題

2-6 繰り返される環境破壊と気候変動  

環境を守った事例

まとめ

 

 

 

 

第2章 人類は危機にどう対処したのか?

 人類は、初期には自然の猛威だけでなく、自ら作り出した災厄からも逃げ出すしかなかった。しかし、やがて工夫と協力で危機を乗り越えて来た歴史があります。失敗や成功の事例を見ます。

 

2-4 繰り返される金融危機・恐慌


  恐慌が始めて起きたのは産業革命末期の英国が最初で1825年でした。どうしても自由市場では、好況と不況(倒産)を繰り返します。恐慌下では、多くの労働者が長期に失業と賃金低下に喘ぐことになります。その後、ほぼ10年毎に起きています。やがて恐慌は一国から世界に広がるようになり、遂に1929年米国発の世界恐慌が第一次世界大戦で負けたドイツを困窮のどん底に陥れ(ハイパーインフレ)、ナチス・ヒトラーの台頭に繋がった。大戦後は、南米の債務危機、アジア通貨危機、ITバブル、住宅バブルのリーマンショック等が頻発するようになりました。

 実は、古い時代にも金融危機はあった。最古は古代ローマで、元老院議員らによる大規模な債務不履行(デフォルト)が発生し、ローマの銀行が次々と崩壊。皇帝が現代の価値で数百億円〜数千億円規模を無利子で市場に融資し、史上初の公的資金による銀行救済を行いました。1637年には、投機によるバブル崩壊が起き、オランダのチューリップ・バブルがあった。珍しい品種のチューリップの球根価格が異常に高騰し、家一軒が買えるほどの額に達したのちに大暴落。市場の熱狂と崩壊のサイクルを示した世界最初の事例です。

 

 日本にも、大正から昭和にかけて、10年間に3回と度重なる恐慌が襲いました。最後の恐慌は米国発の世界恐慌が波及し、さらに政府の貿易政策の失敗と農業恐慌が重なり甚大な被害をもたらした。これにより国民の不満が一気に高まり、農民にとって満蒙開拓が救いと思えるようなり、満州事変へと繋がっていった。

 

 人類は多くの経済危機、金融危機・恐慌、債務不履行、ハイパーインフレを経験し、悪戦苦闘しながら乗り越えて来たが、今も経済危機は無くならない。

 

 

 

2-5 金融危機を招いた悪辣なマネー

 

 マネーの暴虐さは近年勢いをさらに増し、日々新たな手口が生み出されています。ここ半世紀の危険なマネーの動きを拾います。

 

 発展途上国が海外の潤沢な資金に惹かれ、国の発展の為に借りる事はよくあります。しかし、これが往々にして悲惨な結果を生みます。一つは、途中からの金利高騰で返せなくなり、さらに高利貸しに手を出し、身ぐるみ剝がされるケースです。これが1970年代~80年代の中南米債務危機でした。この結果、この国々は、国民資産2200億ドルが国外流出し、ハイパーインフレと不景気に襲われた。高利貸しとはIMFです(悪意はないが、結果はほぼ最悪)。

 東南アジア諸国が、これまた海外の資金を国内投資の為に借入れ、国内景気は順調だったのですが、残念なことに外貨の貯えが少なかった。これに目を付けたヘッジファンドらが、タイ通貨を空売りし、通貨が下落することで数千億円儲けた。タイは自国通貨が半減すると、借金が倍になるので買いで防戦したが、完敗した。この結果、この5ヵ国の国民5億人に何が起きたのか。各国のGDP減少率はで5627%になり、タイは、その後の5年間で肺炎、結核、HIVによる死亡者数が5万人増加した。ここでも多くはIMFに頼ることになり緊縮の苦しみを味わった。このファンドの行為は為替投機であって違法では無い。ヘッジファンドは正に生き馬の目を抜く守銭奴です。

 


 最後に、世界が金融屋に騙され浮かれ、その果てに巨額の損失を出したのが、2008年のリーマンショックでした。二つの破綻要因があり、一つは、米国の低所得者用住宅ローン(高リスク)を他の債権と組み合わせた新しい証券CDOが世界中に販売された。これを有名な信用格付け会社が保障した。またこれら証券を買った銀行が、不渡りでも損失を補填して貰える保険CDSが出回り始めていたので、銀行は飛びつくように買った。しかし不動産バブルが弾けると、一気に世界中で安心とされたCDOCDSも不渡りが続出し、世界的な金融危機となった。世界の株価時価総額の約半分15兆ドル(約1500兆円)が数か月で吹き飛んだ。米国は救済に7000億ドルも税金を注ぎ込みました。証券CDOは総額1.5兆ドル、保険CDS総額は58兆ドル(5800兆円)にもなっていた。普通の神経なら、保険CDOの総額がこれほど多いと知った段階で、危険と判断するはずなのですが、無視するからこそ、毎回のように金融危機が起こるのです。投機家は「皆で渡れば怖くない赤信号」の心境になってしまう。

 

 三つの実例から言えることは、如何に金に群がる投資家らが、儲けの為なら国家や国民を食い物にし、世界に甚大な被害を与えているかがわかる。金融危機が再発しても被害が少なくなるような制度が必要です、大企業ではなく中間層以下にとって。我々は、賢くなるべきです。

 

 

金融危機対応から見える金融経済の問題

 

 2008リーマン・ショック後G20協調対応を行った。未曾有の世界的金融危機に対し、G20が中心となり、世界規模での協調的な利下げと、総額5兆ドル(税金)にも及ぶ大規模な財政出動を同時に実行しました。しかし、一連の対応から金融業界の恐ろしさが見えて来ます。対応は大きく二つに分かれる。一つは、倒産対応で、大手銀行を「秩序立てて潰せる」ようにする破綻処理手段が整備された。米国は、1930年の大恐慌時、安易な救済がモラルハザード(倫理の欠如)を生むとし銀行の連鎖倒産を事実上放置し、深刻化させました。しかし、その後、「大きすぎて潰せない」として、銀行を巨額の公的資金を投じて救済し、この慣行が続いていた。これをまた大転換した。もう一つは、今後の金融危機防止策で、金融機関の自己資本比率の大幅引き上げ、店頭高リスク金融商品(デリバティブ)の透明化、無免許銀行(シャドーバンキング)への監視強化が主でした。

 

 幾度も金融危機に見舞われているのに、なぜこの対応が事前に出来なかったのでしょうか? 金融危機は、危機⇒規制⇒「安心+景気刺激」⇒規制緩和⇒危機が繰り返されている。これが繰り返されるのは、金融資産の増加は多くの人にメリットがあり、過熱し易い一方、毎回、金融イノベーションにより状況が変わり、バブル崩壊を予見できない事にある。さらに米国は、金融資本家の勢力が大きいので、政府に圧力を掛け、規制緩和に戻ってしまう。バブルが起きると、投資利益は金融資本家に行き、バブルが崩壊すると負債は政府が被り、景気後退が庶民を襲う。これが繰り返されている。金融はブラックボックスのようだが、国家と世界が協力して、正確に把握し制御しないと、悪化するばかりです。

 

 

 2-6 繰り返される環境破壊と気候変動

 

 公害は古くからあった。人々の経済活動による環境破壊は幾度も起こっていた。地域毎の異常気象が重なることもあった。最古の記録として、出エジプト記に登場する「十の災い」があり、ナイル川の水位低下(紀元前1500年頃)が起因していた。水位がかなり低下し滞留すると赤い藻が発生し、蚊やアブを食べるカエルが死に絶え、蚊やアブが大量発生し、これが家畜や人に感染症を大量発生させることになった。エジプト文明はナイル川の氾濫農耕に依存していた為に被害が拡大した。

 

 人間が原因となった古い事例がトルコのエフェソスに残っています。古代ギリシャ人は、植民地上流の川沿いの森林を伐採し、牧草を植え、羊を飼いました。やがて土砂が下流の湾に堆積し、マラリアが発生し、人々は浚渫を繰り返した。紀元前3世紀に始まり紀元後14世紀、遂に捨てられ、都市遺跡は今の海岸から6kmほど内陸に引き離されてしまった。南太平洋のイースター島や中国の黄土高原などの殺風景な風景も、長年の森林伐採が原因です。今の米国は、地球温暖化を否定することで産業の発展を促進しているが、そのツケは米国民だけでなく世界が負うことになる。

 

 しかし20世紀になると、国内や世界が一致団結し、国内だけでなく地球を守る機運が高まるようになった。

 

環境を守った事例

 

1987年、モントリオール議定書によるオゾン層の保護が始まった。世界規模の環境問題を国際条約で解決した最も成功した例の一つです。197080年代、冷蔵庫やスプレー缶に使われるフロンガスが地球のオゾン層を破壊し、有害な紫外線の増加を招いていることが判明した。世界各国がフロンガスの製造・使用の段階的廃止に合意しました。先進国が途上国へ技術的・資金的な代替フロンへの転換支援を行ったことも功を奏し、現在オゾン層は回復傾向にあります。

 実は、この裏で科学者達の孤軍奮闘があった。高感度検出器による大気中のフロン発見、次いで別の科学者が、フロンが成層圏で壊れオゾンを破壊すると発表、さらに南極観測隊が上空のオゾン層が極端に薄くなっている事を発見した。これを米国のフロン業界が「根拠のない空想科学だ」と猛烈なバッシングを行った。しかしカーター大統領は、スプレー缶へのフロン使用を禁止した。こうして地球が救われることになった。

 

1980年代~、ヨーロッパ複数国の協力によりライン川の水質浄化。スイスからフランス、ドイツ、オランダなどを経て北海に注ぐライン川は、高度経済成長により工場排水や生活排水が流れ込み、1970年代には生態系が破壊され「ヨーロッパの下水道」と呼ばれるほど汚染されました。流域国が国際機関を作り、国境を越えた水質監視、厳しい排水規制を共同で実施しました。国境を越える環境問題は、国境を越えた共同管理によって解決できる事を示した。

 


2017年、水銀規制の水俣条約発効。日本の工場から排出されたメチル水銀が魚介類に蓄積し、それを食べた人々の間で中枢神経系に重度障害を引き起こした。これは国内最大規模の公害病で、被害者は7万人を越え、企業と国に対して勝訴した。

 その後、日本が主導して「水銀に関する水俣条約」が130か国以上の合意で採択されました。先進国と途上国が協力し、水銀の採掘から輸出入、製品(蛍光灯や電池など)への使用、廃棄に至るまでのライフサイクル全体を国際的に規制する体制を構築しました。

 日本の誇れることをもう一つ、日本の公害裁判において、「原因の証明は、被害者(市民)ではなく、企業側が科学的に反証できない限り認める」という形で、被害者に有利な判決が出されました。逆に、米国では、「原告(被害者)が厳密な科学的メカニズムと予見可能性を証明する必要があり、高度な専門証拠を完璧に揃えらえない限り、企業は免責される」とされている。米国の企業優先・経済優先が、あまりも露骨です。ヨーロッパの判例も、概ね日本のように被害者側に立っています。

 

 

まとめ

  

 人類が自然と共に暮らし、自然から恩恵を得る限り、環境を痛める可能性はいつもあり、放置すれば我が身に災厄が降りかかった。一方で、気候変動も数千年の間に地球の平均気温は±1℃の範囲で変化し、局所的に大きな異常気象を起こし、人々は苦境に陥ったことが度々あり、文明の崩壊に繋がったこともあった。人類は科学を発達させ、民主主義が広がる中で、自ら招いた公害や環境破壊について、多くの人が協力し乗り越えるようになってきた。だが気候変動による異常乾燥などには、つい最近まで無力だった。少しづつ科学技術で対処できるようにはなっているが、ほんの一部に過ぎない。

 

 

----全体の目次----

第一章、世界に迫っている危機の要約。

第二章、人類はこれまでに危機に対してどう対処して来たか。 

第三章、我々が直面している重大危機。

第四章、米国の衰退と世界の危機回避能力喪失は一体。

第五章、如何にあるべきか。

第六章、成功している北欧は資本主義のもう一つ道。

 

Saturday, September 19, 2026

短縮版 迫る多難な危機  第二章 2-1,2-2,2-3

 


「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」

 

この短縮版は、既に投稿済みの「迫る多難な危機」を、少し内容を割愛、分割して連載します。

 

まえがき

 現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。Make the world and people happy again!

 

--- 目次  ---

 

第2章 人類は危機にどう対処したのか?

2-1 繰り返される紛争と戦争 

2-2 繰り返される独裁 

  独裁とは何か?

2-3 繰り返される経済格差の拡大と縮小   

  我々人類は、社会の格差を自ら是正する事を可能にした

 

 

 

第2章 人類は危機にどう対処したのか?

 

 人類は、初期には自然の猛威だけでなく、自ら作り出した災厄からも逃げ出すしかなかった。しかし、やがて工夫と協力で危機を乗り越えて来た歴史があります。失敗や成功の事例を見ます。

 

-1 繰り返される紛争と戦争

 

 多くの戦争が繰り返されて来たが、大戦後、大国、特に米国が仕掛けた戦争は、いつも安易に始められ、そして泥沼化していた。上層部は失敗だと気づいていも認めず、勝つまで続けようとする。独裁者なら、なおさらで、自分の身に危険が及ばない限り止めない。ベトナム戦争、プーチンのウクライナ侵攻、トランプのイラン侵攻等は分かり易い例でしょう。振り返れば何と馬鹿げた理由、有りもしない脅威のために戦争が始められ、国民の犠牲と破壊が一顧だにされなかった事に気づくことになる。人類は、戦争の危機を、自ら招いてるように見える。指導者が自らの権威を高めたい時、国民が熱情(敵意や恐怖)に突き動されている時に多い。それは国が疲弊し焦る中で、また国力に驕りを感じている時に起きる。

 古代アテネは、いつしか侵略戦争の覇者として命脈を保つようになっていた。これに脅威を感じたスパルタが挑み、BC5世紀ペロポネソス戦争が始まった。ギリシャの諸都市国家は戦禍で疲弊し、この後、アレキサンダー大王の支配に屈し、歴史の舞台から消えてしまう。これが大国の驕りと煽られた敵意の成れの果てでした。先住民の部族・村同士の闘争は、些細な事で始まる場合がある。例えば、アマゾンのジャングルにおいて(百年以上前)、別の村人の狩猟の矢が間違って当たって一人死んだ。すると死者の家族が、相手の村の誰かをこっそり一人殺害する。こうして復讐戦は拡大し、村人に多くの被害者が出るまで続くことがある。上記に挙げた古代ギリシャから今のプーチンやトランプの戦争に通じる。

 


  この一方、人類は途方もない殺戮の末に困難な停戦を幾度も実現して来た。二国間や数十ヵ国の話し合いで平和条約を締結し、国の存立基盤(国境)を定義し、国民(捕虜等)の権利(国籍・宗教等)を確定して来た。紀元前1259年カデシュの条約締結、1648年ウェストファリア条約締結、1998北アイルランド和平合意(ベルファスト合意)等が代表的でした。

 

 20世紀後半になると、未然に戦争を防ぐ手段が多数の国によって行われた来た。国際連合、核兵器不拡散条約と核の査察体制、「戦争を予防する平和維持ミッション」を担う国連予防展開部隊や国連平和維持活動、国際機関資源の奪いを避ける為の多国間による共同管理(EUの前身)、世界が共同して国境問題や戦争犯罪を司法で裁く等の多くの国際機関を設立して来た。

 

 人類は紛争を繰り返して来たが、一方で紛争を終わらせ予防する策を講じて来ました。敵対国・紛争当事国だけでなく、世界各国が自らの事として、紛争・戦争予防に協力するようになって来ている。一方で、大国は驕りとエゴで、この動きを牽制し破壊しようとしている。

 

 

 

2-2 繰り返される独裁

 

 マケドニアのアレキサンダー大王、漢王朝の創始者劉邦、江戸幕府開祖の家康、モンゴル帝国のフビライは、偉大な独裁者だから広大な領土を統一し統治出来たので、その後の国の平和と安定が続いたもと言える。しかしナチスのヒトラー、ジンバブエのムガベ前大統領、インドネシアのスハルト元大統領、シリアのアサド元大統領、チリのピノチェト元大統領の残忍さや悪辣さは如何にも独裁者らしく避けたい。

 

独裁とは何か?

 国を治めるには、トップと支配集団(同盟集団や官僚等)が不可欠です。大多数の国民にとっては民主主義が最良なのですが、トップから見れば独裁の方が遥かに楽であり巨富が得られる。独裁であれば、数千から数億の国民のご機嫌を取る必要はなく、数十から数百の取り巻き(同盟集団)に利益を与えれば済む。そしてその同盟集団は軍部や警察(KGB、憲兵)、マスコミ、司法すらを指揮し、国民を抑え込めば良い。独裁者は国富の数割を掌中に収め、残りを同盟集団に配れば良いのです。これがかつての封建時代の王や君主でした。しかし、ほとんどの国は300年以内に腐敗し崩壊した。独裁は共産主義だけではなく、民主主義国家や民間組織(FIFA)でも、いとも簡単になり得るのです。

 

 それでは、独裁国家から民主主義国家は生まれ得ないのか? かつて前政権の転覆は、ほとんどが軍事力・暴力で行った。これでは、どうしてもその暴力集団が独裁を生み易くなる。共産主義革命や明治維新等のように、軍閥が同盟集団となり長く支配した。しかし、徐々に非暴力の転換が可能になり、20世紀には事例が増えて来ました。



  独裁制から民主制に転換する切っ掛けは、独裁者と同盟集団の存続が危うくなった時です。例えば、収入源の枯渇(経済封鎖、大不況)、外国からの支援停止(大国の支援停止)、独裁者自身の衰弱、国際世論の反発等がある。しかし、不可欠なのは、多くの国民が立ち上がり、反旗を翻した事です。これらによって同盟集団が独裁者を見限り、転換がほぼ無血で成功することになる。この事例が、フィリピンの「無血革命」と韓国の6月民主抗争」による民主化、バルト三国のソ連からの独立等が、歴史に残る成功でした。

 

 それにしても改革には捨て身の国民が立ち上がら無い事には始まらなし、有能で素晴らしい指導者らはいつの世にも欠かせない。

 

 

2-3 繰り返される経済格差の拡大と縮小


 概ね貧富の差は王朝の発展・継続と共に拡大し、王朝が発展する連れて貧富の差が縮小することはなかった。理由は簡単で、王朝を支配する独裁者の家系と同盟集団が益々肥え太るようになるからです。当然、腐敗が横行し経済効率も悪化しやがて衰退する。領土内外から収奪するものがある限り、少しは王朝の延命は可能だったが。1200年続いた古代ローマは、初期には少なかった格差が拡大し続け、結果、国民は国の存続に意を介さず自壊するように滅んだ。全盛の2世紀頃、人口の約1.5%のエリート層が帝国所得の20%を得て、約90%の人々は生存ギリギリの生活をしていた。今の米国では、上位1%の保有資産は、全米の総資産の31%前後で、上位1%の年間所得は下位50%の平均所得の約153倍になっている。民主主義国?でも、古代ローマと変わらない。日本の奈良時代から平安時代にかけても、江戸時代末期も同様に格差は拡大した。

 格差拡大は技術革新中にも起こった。産業革命は、最初、綿工業の技術革新で始まり、次いで機械化が進み、蒸気機関が使われ始め、工場制機械工業が定着して革新は終わります。この間、農民は農業地帯から都市部の工場労働者へと吸収されて行き、都市は急成長した。ところが英国国内の経済格差は産業革命前より悪化した。これは、生産性の急上昇はあったのですが、収益は資本家・企業が得て、賃金の低下や労働条件の悪化(長時間労働)が起きていたからです。当時、国民、特に労働者を守る法律は無く、組合やストは犯罪でした。痺れを切らした労働者は逮捕覚悟で労働組合結成に動き、やがて組合やストが合法化され、労働条件の改善が図られた。遂に農民・労働者の選挙権を獲得するまでになり、1906年には労働党が国会に議席を獲得するまでになった。こうして英国民は約80年を費やし、資本家らの暴挙を抑え込み、産業革命の成果にあずかることが出来たのです。そして産業革命終了後の英国だけでなく、新世界や日本は経済も含めて大いに恩恵を受けました。

 

 

我々人類は、社会の格差を自ら是正する事を可能にした

 

 人類は、優れた指導者によって国民の支持を受けながら果敢に丁寧に施策を行って格差是正を成功させて来た。貧しく借金に喘ぐ人々の債務を帳消しにし、貴族や大土地所有者から土地を没収し、再配分を行った。また債務奴隷を解放し、富裕層だけに政治権力を独占させない政治制度を作った。この代表例が、紀元前6世紀の古代アテネのソロンの改革と、紀元前2世紀古代ローマの土地改革でした。前者は歴史に残る成功だったが、後者は、猛反発した元老院の策略により指導者は自害し改革は挫折した。とかく既得権益者との戦いの熾烈さは、今も昔も変わらない。

 しかし20世紀初頭にもなると様相が変わった。新たな指導者達は、労働者・企業・富裕層への徴税と社会保障制度と呼ばれる再分配制度を考案し、恒常的な格差是正システムを完成させた。累進課税と疾病保険法、労災保険、障害・老齢保険などを国民に提供した。この代表例が、20世紀初頭のドイツ・ビスマルクの社会保険制度、20世紀前半の西欧の黄金時代(福祉社会を志向)と呼ばれる動きでした。

 1930年代、米国で、新機軸となる大恐慌の救済策としてニューディール政策が導入された。これは公共事業による雇用創出(需要拡大)、社会保障制度の創設(老齢年金)、労働組合の保護、金融規制などでした。これらの結果、二つの大戦に挟まれた最悪の時代にありながら、欧米の経済格差は歴史上最低を継続出来た。高い税負担(富裕層)と引き換えに高い生活水準と社会的信頼が形成された時期でもあった。

 

 都市の出現以降、覇権を握った国家は必ず腐敗し格差が拡大した。やっと民主主義が定着したと思われた20世紀になってからも、北欧等の一部の国を除き、やはり腐敗と格差が広がっている。特に新自由主義を牽引した米英日の悪化は先進国の中でトップです。どうやら人類社会では、国民が日和見に甘んじていると、必ず富裕層(既得権益層)に政府が牛耳られ、腐敗と格差が拡大する運命にあるようです。それでも悪化が行き過ぎると、国民は立ち上がり、それを担う指導者が現れる。そして新たな指導者層と改革された社会システムで始まる。ところが、ポピュリズムに冒されると、独裁に嵌り込み、悪夢が再び始まる。結局、成功の必須条件は、行き過ぎた資産拡大を抑制し、機会の平等を準備し、また富裕層(一部の層)に政治や経済を支配させないようにすることでした。残念なことに、今は末期に近いづいているようですが。

 

 

----全体の目次----

第一章、世界に迫っている危機の要約。

第二章、人類はこれまでに危機に対してどう対処して来たか。 

第三章、我々が直面している重大危機。

第四章、米国の衰退と世界の危機回避能力喪失は一体。

第五章、如何にあるべきか。

第六章、成功している北欧は資本主義のもう一つ道。

 

Friday, September 18, 2026

短縮版 迫る多難な危機  第一章


「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」

 

この短縮版は、既に投稿済みの「迫る多難な危機」を、少し内容を割愛、分割して連載します。

 

まえがき

 現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。Make the world and people happy again!

 

 --- 目次  ---

1章 様々な危機

 

1.戦争と紛争が増えている

2.独裁が増えている

3.経済格差が酷くなっている

4.金融危機は必ず起きる

5.マネーが世界を巡り、逃げている

6.温暖化が暮らしと生命を脅かしている

7.AI産業革命が始まった

8.分断と対立が益々深刻になっている

9.世界が対立し分裂し始めている

10.最重要課題:米国の衰退が限界に達しつつある

 

  

1章 様々な危機

 放置すれば地球全体に波及する危機10件。

 

1. 戦争と紛争が増えている


 各大陸で紛争とテロが多発し増加傾向にある。現在世界で200近い紛争が起きてている。さらに、ここ数年、相次いで大国が隣国を侵略するようになった。ロシアがウクライナ、イスラエルがパレスチナ、米国がイランに甚大な損害を与えている。

 これらを放置すれば、世界大戦へと拡大する可能性がある。ヒトラーの初期の侵攻を許したがゆえに大戦が始まった。侵略を放置し、大国の横暴を許せば、次の侵攻を誘発することになる。

 

2. 独裁が増えている


 20年ほど前から、世界は異様な熱気を帯びてきた。各国で右翼ポピュリズムが人気を博し、遂に独裁者が軍事大国を掌握するようになった。プーチン、習近平、金正恩が筆頭だが、多くの国で独裁化が進んでいる。既に世界の半数90ヵ国が独裁体制(半独裁)になった。米国も着実にトランプ独裁に向かっている。腐敗と困窮が独裁をもたらし、戦争へ向かう。

  

3. 経済格差が酷くなっている


 現在の経済格差には二つの側面がある。先進国内で、貧富の差が著しく拡大し続ける一方で、かつての発展途上国では国民所得が上昇し、先進国との差を縮めている。前者は行き過ぎた放任経済、後者はグローバル経済に起因している。

 最重要問題は、米国を筆頭に英国、日本等で加速する格差拡大と貧困率増大です。このことが欧米の社会混乱、分断、ポピュリズム台頭を招いた理由の一つです。

  

4. 金融危機は必ず起きる


 これまで世界を揺るがした金融危機は、ほぼ米国発で繰り返し起きた。リーマンショック後、16年を経て、問題はいつ起きるかです。前回の危機では、世界の時価総額の約3000兆円が吹っ飛び、不良債権の処理費は300兆円以上にもなった。さらに、その後10年におよぶ景気後退による損失(機会)は、世界で数十から百兆ドル(最大1京6000兆円)にもなった。


  5. マネーが世界を巡り、逃げている


 カリブ海に浮かぶ英領ヴァージン諸島は、タックスヘイブンの代表格、人口3万弱の島に登録企業は80万社以上ある。富裕層や企業が租税回避している総額は世界で2000~5000兆円に達する。企業と富裕層が減税された上に租税回避地まで作り、国の税収は減るばかりです。また為替・商品・株への投機で巨額の資金が世界中を巡っている。投機家は為替取引では実需の百倍にもなる1500兆円を毎日動かし儲けに奔走している。

 

6. 温暖化が暮らしと生命を脅かしている


 氷河が消え、台風の強度と集中豪雨が増え、夏の気温が耐えがたいほど上昇している。海面上昇が島に迫り、砂漠が増え、サンゴ礁が半減している。これらにより陸海の食料生産が大規模に損壊され、水資源が枯渇し、大量の移住が迫られる。今後、世界の年間損害額は6000兆円になるとされている。我々が温暖化ガスの排出を今すぐ止めても、地球の上昇した気温を元に戻すことは出来ない。既に取返しが付かない。

 

7. AI産業革命が始まった


 ITAIが経済と社会に与える影響は計り知れない。変革は社会に深く入り込み、人間はそれから逃げることができない。かつての産業革命の初期に、労働者への圧迫と失業が起こり、次いで、国民が立ち上がることにより、世界にその成果が行きわたった。しかし今度の相手は、人間を遥かにしのぐAIだから、深刻だ。これを仕切れるのは、聡明で科学的思考が出来る大統領でなくてはならない。パンデミック時、約39万人の命を無駄にした大統領には不可能だ。

  

8. 分断と対立が益々深刻になっている


 宗教、移民、人種よる対立が深まり、紛争に繋がっている。移民排斥が、欧米の右翼ポピュリズムの主眼になっている。他の大陸では宗教、部族、民族の対立が深刻です。米国の分断は、移民・黒人への差別もあるが、政策を異にするリベラルと保守の対立に原理主義的な宗派が加わったことが大きい。今は、米国筆頭に、融和から対決姿勢に代わり、民主主義を否定し、独裁を待望するようになってしまった。

 

9. 世界が対立し分裂し始めている


 第二次世界大戦まで、戦争犯罪を裁く世界が認めた手段がなかった。しかし、世界が協力して国際司法裁判所を作り、戦争犯罪を認定できるようになった。これは戦争犯罪への抑止策に繋がる。しかし、大国の都合で、これが破られている。世界は団結して紛争や戦争を抑止する一環として、これを育て発展させる必要がある。

  

10. 最重要課題:米国の衰退が限界に達しつつある


  米国では超富裕層が出現した一方で、貧困層が増え、絶望死が増えている。これは半世紀に及ぶ自由放任と金融重視が、企業・富裕層優位と労働軽視を生み、これにより経済格差が拡大し固定化したからです。この人々の不満が煽情され、社会は分断し、やがて独裁者が待望されるようになった。これが進むと、米国はさらに悲惨な状況に陥るだけでなく、世界に甚大な危機を呼び込むことになる。

   様々な地球規模の危機を回避するには、世界が一致団結しなければならない。しかし、ここ20年ほど、米国を筆頭に世界も急速に分断され始めた。日本のように大国の横暴に尻尾を振るだけでは、破滅の手助けをしているようなものです。世界各国と国民が協働して、大国の横暴を拒否し、先ずは米国が正常な国家に再起出来るように手助けすべきです。逃げていては地球は最大の危機に見舞われる。

 

 歴史を振り返ると、国が一度衰退し始めると再起不能になった事例は事欠かない。米国はその瀬戸際にある。トランプを支援する方々は、どうか夢想と引き換えに現実、独裁者誕生から目を逸らさないでください。ヒトラーを熱望した事を後で悔やんでも遅いのです。

 

 

----全体の目次----

第一章、世界に迫っている危機の要約。

第二章、人類はこれまでに危機に対してどう対処して来たか。 

第三章、我々が直面している重大危機。

第四章、米国の衰退と世界の危機回避能力喪失は一体。

第五章、如何にあるべきか。

第六章、成功している北欧は資本主義のもう一つ道。