Friday, May 8, 2020

世界が崩壊しない前に 24: 掘り尽くす鉱物


*1


宇宙誕生から138億年間で生まれた元素や地球の鉱物を、人類はこれから数十年ほどで使い切ってしまう。
その先は・・・





*2

青銅と鉄は文明と強国の象徴でした。
紀元前、もしヒッタイトとケルトが鉄器を持っていなかったら、ガンジス川や黄河流域で鉄の農耕具が普及していなければ、歴史は大きく変わっていた。
金と銀は繁栄の象徴であり、昔から通貨の役割を果たして来た。
建物から自動車、携帯電話、薬品、太陽電池まで鉱物無しでは造れず、生活は不可能だ。

国際環境開発協会が15年ほど前、よく知られた八つの金属(鉄、アルミ、鉛、ニッケル、銅、他)の残りの可採年数は15~81年と発表した。
推定埋蔵量は500~1100年分あるが、採掘には膨大な損失が伴う。
環境省の2009年の資料によると、可採年数は金20年、銀19年、レアメタルのクロム15年、インジウム18年とある。

ここ半世紀、かつて指摘された地下資源の可採年数を越えても、掘り尽くした物はなく、今も採掘は続いている。
しかし確実に可採年数は短くなっている。


* 何が問題か? *

可採年数は、世界経済(消費)の伸び、新規に発見される埋蔵量、リサイクル量、そして採掘コストによって決まる。

だが埋蔵量は増えても、鉱石の品位が下がり続けており、益々採掘にエネルギー(コスト)と水の使用量が増える。
また鉱山から出る鉱さいや処理液はこれまでの数十倍に達し、環境破壊と深刻な公害を招く。
さらに農業や漁業資源を減らすことにもなる。

最大の懸念は、生産と埋蔵している国が大きく偏在していることです。

中国の生産量は金で1位、レアアース(17元素)では世界シェアの96%に達する。
埋蔵量の世界シェアでは、リチウムはチリで75%、プラチナは南アフリカで88%と偏在している。
一方、日本はベースメタル(鉄、銅など)とレアメタル(リチウム、コバルトなど)は100%輸入に頼っている。


* もし枯渇の危機が来れば! *

希少元素や鉱物の枯渇は、コロナ危機のマスクのように2ヶ月ほどの品不足では済まない。
今回の日本政府の対応を見れば、危機管理(体制とシミレーション)が出来ていなかった事と、隣国との協調体制が取れないことで傷口を大きくしてしまうことが理解出来たはずです。

おそらく悲惨な争奪が始まるだろう。
既に石油、ダイヤモンド、ウランのように、アフリカや中東で資源を奪い合う為に、大国から武器が大量に供給され内戦を生んでいる。

放置すれば必ず破局が来ます、甚大な被害を伴う危機が。

将来に備えた危機対応が不可欠です。


次回に続きます。




No comments:

Post a Comment