Sunday, April 15, 2018

何か変ですよ! 114: 誰の責任? 3




*1


前回、政治意識の低い多数の人々に非があると言いました。
彼らは腐敗政治を招いた間接的な加害者だが、一方で被害者でもある。
倒閣は重要ですが、この視点は不幸を繰り返さない為に必要です。


はじめに

腐敗の極にある安倍政権の倒閣は絶対です。

しかし、例え倒閣が成っても社会・政治状況が今のままでは、また暴虐な首相の再来を招くことになる(直ぐには起こらないが)。
もっとも放置していも、暴虐になって行くだけですが。
つまり、私達は絶望の淵に立っている。

ほとんどの方は否定するはずです。

それではオバマ大統領誕生の後に、なぜハイエナのような不動産屋、それも政治の素人が大統領になったのでしょうか?
極論すれば、国民の冷静な思いが選挙に反映されなくなっているからです。
ブッシュへの失望から国民は沸騰し、今度こそはと期待したが失望し、次は真逆の人物(ブッシュより酷い)を大統領に選んだのです。

この背景は複雑ですが、日本が教訓にすべきことがあります。


 
*2


* 米国に見る悪循環

A: オバマ政権下では共和党が議会を占めていた。

オバマは議会の反対や妥協の為に、思うように改革が出来なかった。
これが大いなる希望から失望に代わり、また保守勢力の必死の巻き返しが起こった。

B: 既に格差が拡大し、低所得層の不満が社会の分断を生んでいた。

90%の国民は30年以上所得が増えず、繰り返すバブル崩壊で長期失業者が増えていた。
改善されない状況に業を煮やし、白人労働者は黒人や移民に不満をぶつけ、分断が生まれた。


C: 超富裕層の資金力と保守的なマスコミが選挙を支配するようになっていた。

格差拡大の結果、少数の超富裕層による政治支配が進み、経済重視の規制緩和が加速し、さらなる格差拡大とバブル崩壊、財政悪化の悪循環を生んでいる。
規制緩和で保守化(娯楽化)した巨大マスコミの影響で、国民は真実を見定めることが出来ず、さらに資金力が選挙を左右するようになっていった。

このような状況で社会の分断が煽られ、大半の国民は本来の敵を見失い、むしろ敵側についてしまった(よりによって正すべき相手に権力を与えた)。
これが、今の幼稚で自称天才の大統領を生んだのです。

驚くべきことに世界の評価は、この米国の状況はまだ日本よりかなり良好なのです(大統領の事ではない)。
日本は米国に比べ政治腐敗度が同程度、民主度と報道の自由度はかなり低い(安倍の数年で急激に悪化)。


私達は何を学ぶべきか?

例え、首相の首が代わっても、国政の腐敗を後押した自民公明両党が過半数を占めている限り、腐敗から脱することは出来ない。

日本の経済格差と社会分断は米国ほど酷くはないが、別の分断が深刻です。
それは経済界と労働界、右派と左派との対立で、労働界と左派は完全に弱体化している。

圧倒的にマスコミ報道が政権側に加担しており、選挙は自民党に有利になっている。


つまり日本の状況は安倍が去っても悪循環を繰り返しながら、手本である米国より先に奈落の底に向かうことになる。

安倍の継続はあり得ないので、安倍が去ったとしてシュミレーションします。


 
< 3.2018年4月14日 >


* 安倍が辞めて自公が政権継続する

与党(自公)が首相の首を挿げ替え新政権が発足し、何が変わると思いますか?

前回、取り上げた問題は払拭されるでしょうか?

A: 「官僚は国民を欺き、国民を完全に無視するようになった」
B: 「経済政策は基本的にバブル頼りと短期成果狙いで、ほとんどの国民は長期的に所得と福祉の低下に見舞われ、さらに国の財政破綻を早めるだけに過ぎない」

C: 「弾圧されて真実を伝えなくなったマスコミ、シビリアンコントロールが効かない自衛隊、米国追従と隣国敵対外交、日本の先進国を示す指標が軒並み低下など」

Aは一時、良く見えてもすぐに元に戻る。

理由は、長年与党の自民党は官僚と一連托生(相互補完)の関係にあり、決して抜け出すことが出来ないから。
自民党は政策立案(法案作成)、議員の選挙対策としての便宜供与(加計や森友事件、注釈1)、選挙資金確保(補助金などの還流)で官僚に依存せざるを得ない。

官僚も、今回の安倍政権のように逆らわない限り自由放任で、かつ忖度すれば出世させてくれるなら異存はない(誇りは既に消滅)。


Bについては悪くなるばかり。

理由は、米国流の自由放任経済とマネタリズムから抜け出せないから。
金融業偏重と企業優先の規制緩和、富裕層と企業への減税路線を変えることはない。
これは自民党が経済界と癒着しているだけでなく、米国から離脱出来ないことにある。
経済政策のポリシーも米国一辺倒で、西欧や北欧は同じ資本主義国でありながら別のポリシーで成功しているにも関わらず。


Cについて、右翼の安倍が去ると最悪の状況は一端去るが、また悪くなる可能性がある。

自民党議員の旧態以前とした体質(世襲制に代表される強い保守傾向)が致命傷です。
世論の圧力で、一時はカムフラージュ出来ても、化けの皮は直ぐ剝がれる。

それは議員の民主主義意識の低さ、後進国並みの女性差別観、報道の自由度の低下に満足している異常さに見られる。
要職にある自民党議員の発言に、「国民に主権があることがおかしい」「友達に国境はないと言う嘘を教えるな」「強姦するぐらい元気な青年の方がいい」など。

つまり、一時しのぎに過ぎない。


 
< 4.バブル崩壊に御用心 >


* 野党が政権奪取する

解散総選挙によって野党が政権を奪還したとし、どこまで良くなるでしょうか?

Aはかなり良くなるはずだが、困難が待ち受けています。

先ず、正そうとすれば官僚の猛烈な造反に合い、さらに保守系マスコミの反キャンぺーンの大合唱に晒されます。

政権経験の少ない野党が官僚の造反に対抗するには国会議席の過半数が必要です。
さらに野党は報道の自由を保証するので、現状の偏向したマスコミの餌食になる可能性が高い。
この二点について安倍は楽勝でした(放任と弾圧で)。

この間、国民が冷静に見守ることが出来れば良いのですが・・・。


Bについては、悪化を一時止めることは出来ても継続が困難です。

日本の経済は、米国流の自由放任経済とマネタリズムが学界、経済界、官僚、与党の一貫体制運営され、さらに米国との繋がりが強固です
この米国流経済の欠点は現象面でも理論的にも明らかにされ、対策も提唱されている。
しかし、既述のように多くの欧米諸国は抜本的な対策が取れず、抜け出せないでいる。

この状況で先進国の物真似しか出来ない日本が単独で米国を振り切り、新たな経済システムを構築するには、時間とさらに国民と各層の協力が不可欠です。
現時点でこれはかなり困難です。
ここでも安倍の短期決戦の目玉政策が喜ばれる(先はどうであれ)。

しかしドイツや北欧などは地道に独自路線を模索し、同じ資本主義経済でありながら豊かな経済造りに成功している(これを真似ることは出来る)。


Cはかなり良くなる可能性がある一方、致命傷がある。

過半数の議席を確保さえできれば、マスコミの正常化、日本の先進国を示す指標(幸福、民主度、経済)の上昇が可能になるでしょう。

しかし、大きな致命傷がある。
それは、隣国との独自外交を望み米国からの離脱を目指した時に被ることになる。
米国は軍事上、東アジアの橋頭堡になる日本を絶対に離したくないので、あらゆる手を使い野党を壊滅させる(継続中)。

この時、国民が米国の干渉を撥ね退ける自立心を持てれば良いのだが・・・。


 
< 5. あなたが望むものは >


* まとめ

残念ながら、私の見たててでは日本はどうあがいても、政治腐敗と没落から抜け出せないことになります。
1世紀半前の英国より没落は確実と思われる。

正に「行くも地獄戻るも地獄」です。

次回に続きます。





注釈1 
自民党の強さは、アフリカ後進国並みのパトロネ―ジュと縁故主義で守られている。

良く知られている三バン(地盤=組織、看板=知名度、カバン=資金)は民主度劣化の元凶です。
現在のパトロン(後援者、支援者)の役割は、従来の金銭援助もあるが広報宣伝効果も大きい。
例えば首相や妻の贔屓で世間から認められたパトロン(教育者、コメンテーター、芸能人)が世間やマスコミで首相擁護に精を出すような関係です。
これに加え、規制緩和枠の便宜供与や補助金提供が加われば、鬼に金棒です。






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