Tuesday, January 16, 2018

何か変ですよ! 90: 何が問題か? 13: 過去・現在・未来に生きる



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日本は平和で、人々は豊かさを享受しているようです。
しかしこのまま突き進むと、いずれ経済も平和も失う事態が来るとすれば・・
今、懸念すべきことはないのだろうか?


*はじめに
現在、進められているアベノミクス(円安誘導、株価下支え、金融緩和、リフレ策、規制緩和)に不安はないのだろうか?

確かに、円安になり株価は上昇し失業率は低下した。
一方で、インフレは起こらず、経済成長は芳しくなく、賃金は低下し続けている。
ゼロ金利政策と日銀の莫大な国債買い上げが続き、そして累積赤字は減少するどころか増大している。

多くの人々は、いずれ経済が上向くとの希望を抱いてるのだろうか?
そうなれば賃金が上昇し、累積赤字が減り、年金や医療介護体制も維持できると考えているのだろうか?

この楽観はどこから来るのだろうか?


*楽観論の陰にあるもの
政府や取り巻きが唱える楽観論の根拠は正しいのだろうか?

この楽観論の前提は非常に単純明快で、日本経済は刺激さえすれば昔のように高い成長を維持できると言うものです。
そして概ねアベノミクスはヘリコプターマネー(通貨増発)によるインフレ誘導で投資や消費を拡大させ、長期の経済停滞から脱却すると言うものです。

当初の円安は輸出企業を刺激し、また株高によって一部には好転の兆しがありましたが、それ以外では実体経済への好影響はあまりなく、効果は持続していないと言えます(つまりトリクルダウンがない)。
なお失業率の低下は、主に団塊世代の退職による代替え雇用によるものです。

ここで、楽観論で見えなくなっている懸念や問題点について考えてみます。
(難しい理屈は不要です)

日本経済は刺激さえすればほんとうに成長を始めるのでしょうか?
または一時成長しても後に大きな歪や災いが生じないのでしょうか?

A インフレになりさえすれば消費が増え、ほんとうに経済は上昇し続けるのか?

B 日本の経済は本当に成長出来るのか? 

C かつてない金融緩和が破滅的な金融危機を招くのではないか?

D 日銀や政府の政策が将来、国民の負担や財政破綻に繋がらないのか?

E 高い経済成長が起きても、米国のようにならないのか?

楽観論を唱える識者はすべて上記の問題点を無視するか否定している。



*上記問題点に共通すること
それぞれの問題について様々な経済学者が激論を戦わせており、素人にはその正否を判断することは困難です。
右派左派、保守革新、米国寄りかで見方は大きく対立している。
しかも多くの人はこれらを予想出来ない不安な事として無視しているようです。

しかし、上記5つの問題が現実に進行しているか、過去に起きていた事を知れば、皆さんは問題の大きさを識ることになるはずです。
つまり、これは現実の問題なのです。


*グラフから読み解きます

 

< 2. 日本と主要国の失業率、社会実情データ図録より >

失業率はリフレ策などの金融緩和によって繰り返されるバブル崩壊で増大している。

赤の縦線は米国のバブル崩壊の始まりを示し、米国の失業率(赤の折れ線)はバブル中に低下していても、崩壊後に急上昇を繰り返している。
黒の縦線は日本のバブル経済の崩壊の始まりを示す、その後の「失われた20年」の長期にわたる失業率の上昇が深刻です。
つまり、リフレ策を含む金融緩和は概ね経済の疲弊を繰り返すだけなのです。



A インフレになりさえすれば消費が増え、ほんとうに経済は上昇し続けるのか?
結論から言えば、アベノミクスのリフレ策は2013年から2017年の5年間の結果から見れば効果がなかった。

ただ円安と株高は当初効果があったが、これは2012年の欧州金融危機解消と海外投機筋の安倍政権誕生への期待によって起こったもので、いつまでも続くものではない(ファンダメンタルの改善ではなく海外の投機動向によるもの)。
物価上昇が起きない理由として原油安が足を引っ張っているとの指摘があるが、本来、原油安は進行している賃金低下を補うべきもので、むしろ円安による物価高が災いして消費全体が伸びなくなっている。

リフレ策の先輩である欧米の経済状況から、リフレ策は成功しているとは言えず、クルーグマンは財政出動が重要だと言っている(グラフ2はその一例)。



*グラフから読み解きます

 

< 3.日本の潜在成長率、 日本銀行より >

このグラフは低下し続ける日本の潜在成長率(黒線)を示し、設備投資(資本ストック)の減少と生産性(TFP=全要素生産性)の低下が顕著です。
この潜在成長率の低下は1990年代の急減によって始まっているが、これはバブル経済(1986年12月から1991年2月までの51ヵ月間)の反動がもたらしたものです。

これ以来、経営者は資金(内部留保など)を長期に固定し予測困難な設備投資に使うより、手早く高利を稼げる海外証券などに投資するようになった。
つまり、経済を牽引すべき人々は実体経済への意欲を完全になくし、あり余る資金は金融経済、それも海外に儲けを求めるようになってしまった。
この資金が逆流しない限り、幾ら通貨が増発されても設備投資に向かず、金融商品に向かいバブルを煽るだけなのです。

この国内の実体経済を軽視する風潮が日本の衰退の元凶であり、かつて英国が没落へと突き進んだ道でもありました。
いま日本は戦後3位のアベノミクス景気と浮かれているが、またバブルが弾けると、かつて言われた「失われた20年」よりさらに長い衰退が待ち受けることになる。
人々は、幾度繰り返せば悟るのでしょうか?



B 日本の経済は本当に成長出来るのか? 
結論は、日本経済は衰退の道を進んでおり、抜本的な対策を講じないと手遅れになる。

大規模な経済刺激策が一時、功を奏しても、その後に大きな反動が来るか、手遅れを招く。
アベノミクス(特に金融緩和)は一時的な興奮剤か、むしろ常習性の麻薬であり、真の経済・社会問題から目を逸らしてしまうことになる。

日本経済の成長力については潜在成長率や需給ギャップなど専門的な理解が必要になる。
しかし、今の日本とまったく同じ状況が19世紀の英国であったことを知れば、衰退の恐ろしさを実感できるはずです。
豊かで世界をリードしていた経済大国が半世紀の間に没落したのです。
つまり、衰退の真因に手を付けず、一方で成長力以上に通貨増発することはバブル崩壊とデフォルトを招くことになる。


*グラフから読み解きます

 

< 4. 株価の推移 >

上のグラフ: 日経平均の推移。ウイキペディアより。
バブル経済で株価は高騰し繁栄したが、その後20年に及ぶ景気後退と手痛い後遺症を負ってしまった。

下のグラフ: 日経平均とNYダウの推移。YAHOO!ファイナンスより。
リーマンショック後、米国は直ぐに破綻の連鎖を食い止める為に大規模な救済(約200兆円)と金融緩和を行い、株価は上昇を始めた。
当時、日本は日銀のおかげで被害を抑えることが出来たが、現在アベノミクスにより株価は高騰している。

つまり、我々はいつか来た道を(バブル)をまた懲りずに進んでいる。



C かつてない金融緩和が破滅的な金融危機を招くのではないか?
金融危機はほぼ10年毎に繰り返されて来ており、ここ数年以内に確実に起きるでしょう。

バブルの発信源である米国を振り返ると、前回は2008年初頭のリーマンショック、前々回は2000年末のITバブル、さらに1987年のブラックマンデーと、その間隔は8~13年でした。

米英日中が行っている歴史上始まって以来のGDP成長率を上回る通貨増発は、莫大な資金が実体経済ではなくあらゆる高配当の投機(証券や為替)に注がれ、やがてバブル崩壊に至る。
このバブルを生む金融業界の体質は金融危機後、一時規制されることはあっても、後に景気刺激策として規制緩和され、元の木阿弥か一層酷いものとなる。

不思議な事に、日本政府寄りのエコノミストは当然としても、アベノミクスに異論を唱える民間シンクタンクのエコノミストでさえ、バブル崩壊をまともに取り上げていない。
政財界から距離を置いている少数の学者や識者は、これについて警鐘を鳴らしている。
米国も同様です。

このことは既に日本のエスタブリッシュメントが完全に一色に染め上げられ、国が衰退の道から抜け出せなくなっている証左でしょう。


*グラフから読み解きます


 

< 5. 日銀の保有国債残高、By Bloomberg >

単純に考えて、政府が赤字国債を毎年30兆円発行して、それを直ぐ日銀が買い取る、これを永遠に続けて弊害が無ければ、こんな楽な財政運営はありません。
2017年末、日銀の保有国債残高は既に400兆円になり、アベノミクスの2013年初頭以来5年間で300兆円が買い足されています。

これこそ打ち出の小槌の大発明ですが、世界で日本の中央銀行ほど大量に購入している国もなければ、これを続けている国もありません。
米のFRBは金融緩和を止めて出口戦略を取り、国債を市中に戻しています。

つまり、日銀は早晩出口戦略を取らざるを得ず、かつスムーズな実施が必要なのですが、なぜかまったく沈黙を守っているのが不気味です。



D 日銀や政府の政策が将来、国民の負担や財政破綻に繋がらないのか?
私は国民の負担増と財政破綻の可能性はより高まっていると考える。

残念ながら自信を持って、現在の日銀と政府の金融政策が上記問題を招くと断言できません。
しかし、この恐れはアベノミクスによってより高まると感じています。

この理由は大きく二つあります。
一つは政府が現状のように赤字国債を発行し財政を拡大し続けるなら、早晩、国債を国民の資金だけで消化できなくなるでしょう。

日銀が大量の国債を買い取ってくれる現状では財政規律が緩み、国債増発は続くでしょう。
さらに家計資産の伸びの減少に加え、団塊世代の老後資金の預金引き出しが今後現実のものになります。
法人資産は増加していますが、これは低金利の内国債ではなく益々海外の高利の証券投資に向かうことになります。

当然、真の衰退の問題にメスを入れない限り、持続的な景気上昇が起こらないと考えます。
もしインフレが起きた場合、リフレ派が仮定するように金利上昇が経済成長率よりも低ければ良いのですが、恐らくは逆に金利の方が高騰する可能性もあります。
このようなことになれば、金利1%の上昇で累積赤字1000兆円の利払いだけで年間10兆円増え、利払費は現在の2倍を越え、累積赤字を減らすどころではない。
(逆の場合、GDP成長率が金利より高ければ数十年かけて累積赤字は減って行きます。)
こうして破綻(デフォルト)は近づくでしょう。

もう一つは日銀の出口戦略に関するもので、莫大な保有国債を市中に吐き出す時に問題となります。
私はこの問題の金融メカニズムを完全に理解出来ないのですが、複数の元日銀理事が警鐘をならしています。

結論は、将来、日銀の負債(おそらくは十数兆円から数十兆円)を国民が負担しなければならないと言うものです。



E 高い経済成長が起きたとしても、米国のようにならないのか?
結論は、確実に米国の二の舞になります。

つまり経済成長が起きても所得格差が拡大し、30年以上国民の90%が所得を減らしている米国社会が将来の日本の姿になるでしょう。
(「何か変ですよ! 87: 何が問題か? 10: そこにある未来」に詳しい)

今までと同様の政策、アベノミクスだけでなく自由主義経済と金融重視の米国追従の政策を取り続ける限り、この道を突き進むことになる。


*グラフから読み解きます


 

< 6.主要国の経済推移、 日本経済復活の会より >

19世紀前半まで世界経済をリードしていた英国は半世紀(赤枠)ほどで衰退してしまった。
この衰退は今の日本の姿でもあるのです。


*次回は、かつての英国衰退から日本の現状を理解したいと思います。









Saturday, January 13, 2018

フランスを巡って 53: パリ散策 1




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これから4回に分けて、パリの街を紹介します。
午後一杯かけて、中心部の5か所を巡りました。
この日も快晴で、パリの町と気さくな人々に触れ合いました。


はじめに
散策したのは、2017年5月27日の12:00~20:30です。
ルーブル美術館を正午に出て、ラ・デファンスに戻るまで地下鉄と徒歩で市内を巡りました。
この日は土曜日で至る所に市民が楽しく、くつろいでいました。

主に巡った所は市民が集い食事を楽しめるアンファン・ルージュの市場とムフタ―ル通です。
また歴史あるサン・ジェルマン・デプレ教会を訪れました。
さらに大学が並ぶエコール通りからセーヌ川沿いのアラブ世界研究所、ここからシテ島のノートルダム大聖堂まで歩きました。

交通機関はすべて地下鉄を利用しました。

 
< 2. パリの散策マップ、上が北 >

地図の見方
赤矢印は地下鉄の乗車駅で、黒矢印は下車駅です。
赤の番号は乗車の順序です。
黒の曲線は乗り継ぎを示す。
青枠は散策した地域で、黒の番号は散策した順序を示す。

今回は、青枠の1番になります。


 
< 3.地下鉄駅 >

上の写真: 最初の乗車駅、赤番号1のパレ・ロワイヤル ミュゼ・デュ・ルーブル駅。

下の写真: 最初の降車駅、アールゼ・メティエ駅。



 
< 4. アールゼ・メティエ駅から歩き始める >


 
< 5. アンファン・ルージュの市場に到着 >

この市場は「Rue de Bretagne」通りの交差点の角にある30m四方の市場です。
まさに庶民の市場の風情です。
観光客をほとんど見かけなかった。


 
< 6. 昼食時 >

訪れたのが13:00頃だったので、食事処はごった返していました。

 
< 7. アラブ風の料理を食べました >

上の写真: 右端の女性が注文を受付てくれる。

右下の写真: 注文した料理。



 
< 8. アンファン・ルージュの市場を去る >


 
< 9. カルナヴァレ館 >

下の写真: パリの歴史が見られる貴族の館であるカルナヴァレ館はあいにく閉館していました。


 
< 10.サン・ポール駅まで歩く >


次回に続きます。



Tuesday, January 9, 2018

雪山に群れる小鳥たち



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雪山で木の実を啄む小鳥の姿を紹介します。
数年前の1月末の信州にて撮影された写真です。
これらは知人より頂いたものです。



< 2.ヒレンジャク >

写真2から7まではヒレンジャクだと思います。
この鳥はスズメ目なのですが、実に可愛い姿をしています。
また雪の中で群れて餌を啄む姿はけなげなでもあり、温もりも感じさせます。




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終わります。



Monday, January 8, 2018

善光寺に初詣しました


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2018年1月5日、善光寺に初詣しました。
真新しい雪が境内を覆っていました。
たくさんの初詣客が訪れていました。


善光寺は長野市にあり、長野駅の北側2kmの所にあります。
善光寺は無宗派で、日本最古の三尊阿弥陀像が祀っられており、古くから信仰され広く知られていた。

冷気の中を歩くと、身が引き締まる思いがします。
雲が途切れると、眩しい陽射しが雪に照り返り、少し汗が滲むようになりました。





 
< 2. 仁王門 >

上の写真: 仁王門が近づいて来ました。
仁王門は長野駅の参道から最初に出会う門です。

下の写真: 仁王門をくぐり抜けてから振り返ったところ。
両側には1km以上にわたり飲食店や土産屋が続きます。



 
< 3.本堂 >


 
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< 5. 山門 >

これは本堂の直前にある門。
この2階に上りました。


 
< 6. 山門からの眺め 1 >

上の写真: 南側、長野駅に続く参道が見える。

下の写真: 西側の境内を望む。


 
< 7. 山門からの眺め 2 >

北側の本堂を望む。


 
< 8. 参道にて >

左の写真: 善光寺名物七味唐辛子の老舗「八幡屋礒五郎」の門松。

右の写真: 昼食に蕎麦を食べた「今むらそば本店」。
ほんとうに美味しかった。




 
< 9. 暮れなずむ長野市 >

16:30頃、篠ノ井線で松本に向かって帰る電車より。
山間を走る電車から眼下に長野の盆地を見下ろす。
ここは雪国でした。


終わります。





Wednesday, January 3, 2018

何か変ですよ! 89: 何が問題か? 12: 退職後の生活?



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前回、若い皆さんの将来の生涯賃金を予測しました。
それは残念なものでしたが、さらに悲惨な状況が拍車をかけることになります。
それは退職金や年金の減額、医療介護費の高騰などのあらゆる付けが回って来ることです。


はじめに
前回、男性大卒の生涯賃金は40年後には30%低下し、現状の3億2千万円から2億3千万円になっていることを見ました。
この差額9600万円は2軒の新築が可能な金額ですが、この生涯賃金は非常に恵まれた正規雇用(年収800万の40年勤務)の人々のものです。

男性の正規と非正規の生涯賃金の現状の差43%を加味すれば、40年後の大卒男性の非正規の生涯賃金はついに60%も低下し、差額で1億9千万円低下、総額1億3千万円になる。
しかも、今後増え続ける非正規雇用は労働者の60~70%を占めるようになるでしょう。

労働者の大幅な収入低下は国の所得税と消費税収入の低下、社会保障(年金、医療・介護)の掛け金の減少を招きます。
これは将来、あなた方が受けるべき年金や医療介護費の不足に輪を掛けます。

しかし、最も大きな問題は労働者の可処分所得の減少が消費需要を長期に減少させ、貯蓄を不可能にさせることです。
これが景気や投資を後退させる悪循環を生むことになり、さらに累積財政赤字の償却を不可能にさせるでしょう。

つまり賃金低下だけが問題ではなく、経済や福祉に大きな災いをもたらすのです。


 
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声高な反論
こんな悲観的な未来は起こるはずがない、馬鹿げていると唱える人はいます。

例えば、現在60才定年を75才まで延ばせば、単純に39%(55年/40年)の生涯賃金の増加が見込めます。
おそらく高齢者の労働収入はかなり低下するので、この見込み通りにはいかない。
確かに増収するでしょうが、これが先進国のあるべきライフスタイルでしょうか?
北欧では異なる道を選んでいます。


 
< 図3.2014年度版家計金融資産、TV東京より >


現在、家計の貯蓄総額900兆円の70%は60才以上の世帯が保有しています。
しかし団塊世代(今の70才前後)が今後、この貯蓄を老後資金として使い果たしていくことになるので、20年後にはかなり貯蓄額は減ることになる。

ここでまた、たとえ家計の貯蓄率が今後マイナスになっても、伸び続けている法人貯蓄(現在800兆円)によって国債(累積赤字1050兆円)は国内で消化出来き、国債の金利高騰は起こらないとの楽観論もある。
これも一見可能だと思わせる。

しかし懸念は既に進行している。
それは以前紹介した国内から海外への資金逃避(現在990兆円)です。
主にこれは証券投資(高利回り)に向かっている。
これは加速しているので、いずれ多くは日本国債に見向きもしなくなり、金利を大幅に上げない限り、資金は国内に戻ってこないでしょう。
かつてヒトラーがやったように海外投資の禁止をやれば別ですが。

もし金利が2%上昇するだけで国債償却費は年間21兆円増え、現在(H28年度)の償却費24兆円の倍、45兆円になります。
こうなればさらに赤字国債を増発しなければならない。


 
< 図4. 平成28年度一般会計予算、財務省より >


しかし、まだ何とかネタを見つけ楽観論を煽る人々がいます。

それは、国には膨大な資産(H21年度で647兆円)があり、純債務はかなり小さいと言うものです。
つまり、いざとなればこれら資産を売却して、負債は1/3の372兆円に過ぎないと言うのです。


 

< 図5.平成21年度国の財務(貸借対照表の資産部分)の概要、財務省より>
この年度の負債合計は1019兆円でした。


例えば国道や堤防を誰が買ってくれるのでしょうか、これで先ず有形固定資産184.5兆円は諦めざるを得ません。
また私達の年金の蓄えを誰かに売っていいのでしょうか、これで運用寄託金121.4兆円もだめです。
91.7兆円の内、米国債購入の82兆円を売ってしまっていいのでしょうか?
実は、売ることは可能なのですが円高になってしまうことと、この購入資金は別の借金に頼っているので、資産とは言えないのです。
結局、こうして647兆円はすべて資産と呼べるものではないのです。

これは当然で、資産があるのなら初めから法律が禁止している赤字国債を発行しないはずです。

少し脱線したようです。
要は、定年延長策に期待できず、また賃金低下が招く景気後退と累積赤字の問題が未来に重くのしかかってくるのです。

ここで不思議なことに気づきます。


なぜ楽観論や諦めが蔓延るのでしょうか?

今後、悪化する少子高齢化、膨大な累積債務、賃金低下、福祉の低下、格差拡大に対して多くの国民はなぜ無関心なのでしょうか?
少なくとも危険だとか、許せないとの声はほとんど聞こえてこない。

一つは楽観論を煽るエコノミストやマスコミの存在が大きい。
なぜ彼らは上記の問題を真剣に捉え報道しないのでしょうか?

そのような立場を取る理由は三つほど考えられます。
1. アベノミクスの信奉者。
2. 米国主導の自由主義経済の信奉者。
3. 政権や経済界の主流に属することで益を得る者。

この三つは重なって作用しています。
1.と2.の論説には共通する前提があります。
善意に解釈すれば、固く主義を貫いているとも受け取れますが・・・

そこには必ず景気が上向くと言う大前提があり、一方でバブル崩壊などを想定しないかまったく触れていないことです。
この論は、まるで一昔前の原発の安全神話と同じと言えますが、これよりも格段にたちが悪い。
なぜなら原発事故よりも遥かに高い確率でバブル崩壊とその甚大な経済的被害(金融危機)は繰り返されているのですから。

現状の景気拡大は、少しはアベノミクスのおかげもあるが、一番はリーマンショック後から続く大国3ヶ国とユーロ圏主導の歴史的な金融緩和によるものです。
逆にこれが危険のですが。

3.の立場は、狭い意味で森友学園、加計学園、元TBSの山口記者などに見られるものと根は同じです。
これらにはまったく善意が感じられない。

おそらくは、1,2,3.の立場で楽観論を煽る人々は、原発問題と同様に国民に対して無責任で自らの栄達にきゅうきゅうとしているだけなのでしょう。
特に、本来信頼されてしかるべきエコノミストや金融界のリーダーが幾度もバブル崩壊を見過ごし、挙句は煽ることもしてきました(リーマンショックの半年前ですら)。


もう一つは、この手の問題は素人の国民に理解することが困難・・・

残念ながら、どの問題の一つを取り上げても、学者やコメンテーターの意見は分かれている。
これを素人が両者の論説を読み比べて虚実を判断することは難しい。
マスコミは両論に分かれて対立しており、自ら納得できる論を導き出すのは更に難しい。

このような場合、私がお勧めする手立てがあります。

1. 海外の書物を参考にする。
出来れば米英の学者でないか、米国の主流ではない学者の著書が良い。
米国は完全に自由主義経済で覆い尽くされており、これが現在の弊害の元凶  なので、この外部に居る学者の説を拝聴することが必要です。


 

< 図6. 2017版、包括的成長指数(IGIのランキング、エキサイト ニュースより >
IGIは世界109カ国・地域における不平等・貧困の解消への取り組み、総体的な生活水準の向上に対する努力を評価した指針です

2. 優等生の国を参考にする。
米英の格差社会や低福祉の元凶とその対策を知る為には、戦後、異なる道(政策)を選んだ国々を知ることが必要です。
北欧やフランス、ドイツなどの政策とその成果を知ることで、現在の間違った政策に気付くことでしょう。
残念ながら、日本ではこの類の情報が故意に捻じ曲げられているか、避けられているように思う。

3. 歴史から学ぶ。
今の日本の現状は、19世紀後半の英国経済の衰退や20世紀前半の日本の大陸進出と似ているところがある。

英国の場合は、衰退が差し迫っているにもかかわらず、誰も動かずズルズルと深みにはまっていただけでした。
日本の場合は、様々なあがきを繰り返しながらも最悪の経済状況に至ると、あっさりと打開策は挙国一致で大陸への武力侵攻でまとまった。
そこには悲しいほどの甘い希望と他人任せの風潮があった。

4. 経済学は自然科学ではない。
私達が接するマスコミや経済学者の景気や経済指標の予測は当てにならないと思ってください。
一番重要な事は、経済学は自然科学のような計算によって正確に結果を予測できる学問ではないことです。
残念なことに、逆に信頼を得ようとして「私の説明や予測は確実です」と言う人ほど使用出来ず、科学者とは言えない。

著名なエコノミストの予測が如何に外れるかは、過去に予測している著書を見れば呆れるほどです。
外れる理由は、経済の諸条件の関わり合いが複雑なことと、予測する時は条件を限定せざるを得ないからです。
さらには、経済は論理的な動機よりもアニマルスプリット(動物的衝動)で大きく変動することがあるからです(バブル崩壊の切っ掛け)。


次回に続きます。







フランスを巡って 52: ルーブル美術館





< 1. ルーブル美術館に入る >


今日は、パリ観光の目玉、ルーブル美術館を紹介します。
その前に、パリの名所を少し案内します。
この5月27日も快晴でした。


私がルーブル美術館を訪れるのは3回目になります。
30年以上前に初めて訪れたこの美術館での興奮が忘れられません。
その巨大さと展示物の豊富さ、古代ギリシャとロ―マの彫刻群、中世ヨーロッパの絵画に圧倒されながらも、くまなく見ようとしたことが懐かしい。

今回は、前回のフリーと違ってツアーの見学なので、有名な美術品を足早に見ました。



 
< 2. エッフェル塔 >

バスを下車して、シャイヨー宮から眺めた。


 
< 3.凱旋門 >

上の写真: 車窓から見たコンコルド広場。


 
< 4. オペラ座 >

上の写真: 車窓から見たオペラ座。


 
< 5. 街の人々 >


ルーブル美術館にて


 
< 6.瀕死の奴隷 >

下の写真: ミケランジェロの2体の作品。
手前が「瀕死の奴隷」、左が「抵抗する奴隷」。


 
< 7. ミロのヴィーナス >


 
< 8.サモトラケのニケ >


 
< 9. モナリザのある部屋にて >

上の写真: 「モナリザ」を見入る人々。
モナリザの写真が上手く撮れなかったので、替わりに。

下の写真: 「カナの婚宴」
モナリザの向かいに掛けてあるルーブル最大の絵。
モナリザの前は人だかりが多いので、モナリザを遠くから眺めている人々。



 
< 10. フランスの歴史を物語る絵 >

上の写真: 「ナポレオン1世の戴冠式」
下の写真: 「民衆を導く自由の女神」ドラクロワ作。


 
< 11. ルーブル美術館を見終えて >


次回から、パリの街角を散策し、市民の暮らしを肌で感じます。