Tuesday, February 10, 2026

連載 取り戻せ豊かな暮らし! 危機に陥る前に 要約 第Ⅰ部



 この半世紀、米国で起きている事が、社会に不満と不安を募らせ、ポピュリズムによって対立が煽られ、今の米国政治の混乱を招いている。半数の米国民はトランプ大統領の尋常ではない言動さえ大喝采を送っている。この二つの現象は、ある政策への転換が引き起こした。その始まりは、レーガン政権からで、自由競争(規制外し)、小さな政府(減税)、金融重視(貨幣供給)の新自由主義政策が画期となり、確実に社会・経済を疲弊させた。

 米国は技術革新を牽引しながら経済成長を続けているが、半数の米国民の実質賃金は30年近く横這いのままとなり、富裕者はより富裕になっている。国内産業は海外に出て行き、IT革命も加速し、多くの国内労働者は失業か低賃金労働への転職を余儀なくされた。折からの福祉予算、公共サービス削減が追い打ちをかけ、敗者復活が厳しくなり、アメリカンドリームは潰えた。さらに南米の経済破綻や世界各地の紛争のあおりを受けて、米国への移民や難民が殺到した。移民は未熟練労働者にとっては、職を奪う元凶と見做され、また保守層にとっては文化の破壊者と見做され始めた。米国の度重なる戦争と大減税が政府の赤字を増大させ、益々国民サービスと海外援助を縮小せざるを得なくなっていった。金融政策偏重と規制緩和が仇となり、バブルと金融破綻が繰り返すようになり、これがまた貧富の差を拡大させている。

 こうして米国に世界最大の金持ちが集中する一方、貧困層が増大した。この事と相俟って、過度の自由化(報道の公正不要、政治献金の限度無し)が災いし、偏向し煽る報道と金権政治が抜き差しならぬものになった。こうなると、政治と報道は資金力で操られるようになり、民主主義は形だけとなった。大半の国民は、極端な貧富の差に日々晒され、政治家が目新しい改革を幾度唱えても、ここ40年悪化し続けるばかりだった。このような状況から抜け出すに為に剛腕な指導者が求められた。その人物は、いとも簡単に解決可能と言い切り、その根源はディープスティトであって、私なら叩き潰せると言う。

 

 この米国の状況は、惨劇の前触れであり、かつてのナチス台頭の前兆のように映る。そこには、真の衰退原因から目を背け、スケープゴートを求めているようにしか見えない。この状況を生んだ新自由主義への転換を一言で言うと「富裕層と保守層が、市民と労働者層への反撃に出て、大成功をおさめた」に尽きる。この因縁は150年前にありました。英国で産業革命が終盤を迎えた時、労働者らが悪化する労働条件の改善を求めて立ち上がり、その後20世紀前半まで、様々な権利獲得(スト権、普通選挙権)を成し遂げていった。これにより、欧米は福祉国家(累進課税、公共サービス増大)の一面を担うようになっていた。これへの反発が富裕層と保守層に高まり、オイルショックを切っ掛けに、彼らは巻き返しを図った。

 

 日本には、新自由主義の問題に加えて、さらに二つの問題が圧し掛かり、先進国中、唯一国力を下げ続けることになった。これは明治維新以来の官僚国家(藩閥官僚制、軍事独裁)とGHQ駐留(米国従属、一党長期政権)が大きい。これは民主主義が育たなかったからとも言えるが、日本の労働運動史と国鉄民営化に、その悪しき影響が如実に見られる。それは労働組合潰し、非正規雇用増大、公務員削減、労働分配率低下、円安等に現れている。これらもあって、現在の日本の職場環境が、先進国中最下位になっている。

 

 しかし世界には日米英が率先垂範した新自由主義と袂を分かった国々があります。東南アジアやインド洋、北欧の諸国は、グローバル化経済にあっても、資本主義に改善を加え、国民の幸福を手に入れている。中国も共産主義国家でありながら、不可能と思われた経済発展と技術革新を行った。また、現状に異を唱える各地のデモと、警鐘を鳴らし対策を提示する学者もいる。

 

 今の米国や日本の悪化は、米国の経済学者らが20年はど前から指摘していた通りになったが、残念ながら多くの人は知らない。政治家も含め既得権益にどっぷり浸かっている人々は真実を伝えず、また解決策も表面的か、既得権益を守る方法でしか行わないのです。1980年代、賃金上昇がインフレを招いたと言って、賃金を下げる政策をとり続け、今はデフレが悪いと言っている。デフレは賃金を伸びないようにしたからに過ぎない。したがって、大半の国民にとって良くなることはないのです。

 

 この現状を理解し易いように、この第1部を書いたのです。第二部は、この状況から独裁や戦争に至る可能性を示しました。第三部では、何とか現状を打破する為に、勇気が湧く明るい兆しを紹介しました。

 

No comments:

Post a Comment