国が戦争を始めた時、「国民に責任があるのか」、日本と米国について考えます。
今回は、過去の戦争を理解し、問題点を拾いだします。
日本の戦争をどう見るか
日清戦争から太平洋戦争までの過程は、自己防衛、五族共和、アジア解放などの為であって、けっして侵略では無かったと信じている人もいる。
また、朝鮮半島や台湾の開発に尽力し、多くの資本投資を行い、貢献したと思っているかもしれない。
確かに、ほんの一面に限れば正しい。
しかし世界史を見れば、侵略国のやることは、どこも似たものです。
独立を叶えると称して内乱を援助し、侵攻地域を攪乱するのは常套手段です。
また侵攻した国に資本投資を行い、後で資源と穀物、さらに税金を搾り取ります。
日本が侵攻した国が受けた損害は、与えた利得よりも遥かに大きいと明確に言える。
台湾やパラオでは日本への印象が良いが、歴史的な事情があり特別です。
しかし見逃してはならないことは、一連の戦争で失われたものです。
満州事変から太平洋戦争終結までの犠牲者は、日本側で約310万人、相手国・アジア諸国側で1,000万〜2,000万人以上とされています。
さらに、これとほぼ同数の傷病者数があったことでしょう。
百歩譲って聖戦だとしても、あまりにも無辜の命が失われた事実からは逃れられない。
もう一つの視点があります。
満州事変から太平洋戦争終結までの戦域拡大過程を見れば、その真実が見えて来ます。
初期の重大な戦域拡大は、2度とも出先の士官の思い付きで始まり、その後は右往左往しながら続いたと言えます。
通常、戦闘開始は中央政府が命じるものですが、現地派遣軍が秘密裏に事件を起こし、相手国のしわざと偽り、攻め込んでいる。
そして陸軍中央は、これをほとんど処罰せず放置した。
これが二回続き、日中戦争へと拡大してしまい、泥沼から抜け出せなくなった。
ドイツでさえ、必ずヒトラーの命令で偽装事件を起こし、侵攻の口実にしています。
初期には、日本の仮想敵国はロシアとされ、朝鮮半島の確保を目指したが、いつの間にか陸軍は、米国対決を想定する南進派とソ連対決を目指す北進派で対立を深めた。
この二正面作戦の不可能を前提にしていた当時は、まだ自国の戦力不足を自覚していた。
この後、既に見たように三国同盟の罠に自ら飛びついて、破局を招くことになった。
つまり、日本が掲げていた五族協和は、空念仏に過ぎなかった。
もう一つ重要なことがあります。
それは日本が侵攻した国の人々の思いです。
少なくとも相手を無視して日本に非がないとか、賠償済みとか、言い募らないことです。
戦後賠償などの交渉時期によっては、相手側に不利なことがあります(独裁者が受諾)。
日本はどうしても島国なので、他国との終戦交渉において、ヨーロッパに比べれば、経験不足は否めないと思います。
これは外交官だけでなく互いの国民にも言えることです。
ここは丁寧に行っていく必要があります。
ドイツが手本になるはずです。
戦争は正義とは無縁だった。
我々は過去の戦争を反省しなくても良いのか
ここまで日本の戦争を振り返って、まだ反省の必要が無いと言える人は少ないだろう。
単純に、悲惨な戦争を2度と起こしたくないと思うのは人情です。
さすれば、過去の戦争の経緯を知り、なぜ戦争に深入りしていったのか、なぜ途中で引き返せなかったのか、と疑問に思うのは自然です。
再発を防止する視点から簡単に原因を挙げます。
1. 政府(内閣と議会)
a) 軍部大臣現役武官制;明治末に導入された制度ですが、陸軍がこれを悪用し、戦争拡大を押し切った。
b) 統帥権の独立;軍の権限は天皇に直属し、政府は関与出来なかった。
c) 陸軍と海軍の対立;薩長閥に始まり、異なる養成制度が仇となり、予算の取り合いで対立。
d) 陸軍の統率力の欠如: 中堅が暴発しても処罰出来ず、抑えられない。
2. 二大政党制の機能不全;単純に民主主義が根付いていなかったとも言える。混乱すると薩長閥、明治の元勲、天皇の力を借りることになった。
3. テロ・暗殺の横行;軍の下士官が徒党を組んで幾度も起こしたが、単独犯や右翼なども関り、和平を唱える人物はいつも危険に晒されていた。
4. 世界恐慌;10年間で3度の恐慌と飢饉は、国民の不満を海外侵攻に向かうのを是認することになった。
5. メディアと国民世論の同調;発展途上のメディア、軍部による美談化・煽情、政府による言論統制(治安維持法等)が相まった。
戦争の再発防止策
l 軍部が独走しないように文民統制を確立する。
l 民主主義を未熟なままにしない。
l 日本の組織は内に纏まり外部連携が困難なので、注意が必要(タテ社会)。
l 金融危機など大不況に用心する。日本だけの弱点ではない。
l 民主主義の基本である言論の自由を、いかなる時も確保する(非常事態宣言等)
まとめ
つまり、戦争を反省するとは、上記の再発防止策を心がけることです。
かつての被侵攻国への謝罪とは別に、2度と戦争を仕掛けないという姿勢を相手国に示すことです。
これが互いに平和を維持することになります。
これが現代を生きる私たちの責任なのです。
--目次---
1話;悪化の責任は誰に
2話;皇軍が選んだ道
3話;独裁に魅了された人々
4話;皇軍の軍人魂とは
5話;日本の戦争を振り返る
6話;軍備と敵について
7話;戦争に向き合う
8話;米国民へのお願い
次回に続きます。


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