Tuesday, January 1, 2019

連載中 何か変ですよ 211: 何がより良い選択なのか? 2



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「日本国民は何を信じ、何を待っているのか?」
好景気か、はたまた福祉社会か?
それとも果てない繁栄か?
私には見えない。


< 2. 1年前と今の株価はどのように見えるのか? >


皆さんはどう思いますか?

.    どうしたら暮らしは良くなるのか?
 企業に溢れるほどのお金を回すべき
賛成: 企業が潤ってこそ、設備投資と給料支給が出来る。
反対: 労働者(国民)は給料が無いと企業の商品を買うことが出来ない。

注釈
まるで「鶏が先か、卵が先か」の問答です。
一見難解に見えるが現状起きていることは単純で、むしろその先が問題です。

それでは日本政府は何をして、その結果何が起きているのか簡単に見ます。
本来、20年も続くデフレが解消され、インフレと好景気が訪れるはずでした。

1.日銀は、この5年間で市中銀行から国債を購入し、政府発行残高の40%440兆円を買った。

A.これによって銀行にだぶついた低金利のお金に、企業が飛びつき設備投資を行い、国内の生産を増加させる。
 しかし日銀の供給したお金の多くは投機に回り、株価や不動産価格の上昇に繋がっただけで設備投資はここ数年少し増えただけ(欧米も似たもの)。

B.国内のだぶついたお金は円安を招き、輸出企業の業績を向上させる(円安は他の要因が大きい)。
 円安で輸出企業(大手)は潤い、海外の観光客も増えたが、逆に輸入物価の上昇で輸入企業、国民の台所、企業の原料調達は苦しくなった(原油安だけが救い)。

C.同時にインフレが起き始め、国民は消費を前倒しさせ景気が勢いづく。
 しかしインフレは起きなかった。


2.政府は予算増額(軍備)と規制緩和(労働)、一部の減税(富裕層)と支出カット(福祉)を行い、日銀と一緒になって株購入を行った。
( )は特に目立った部分。


全体の狙い: 最大の狙いはお金のばら撒き(財政出動と金融緩和)、次いで自由競争を促して景気を良くすることで、借金体質の改善も少しある。

総合結果: 円安と株価上昇、減税、規制緩和で主に大手輸出メーカーと投資家、富裕層は潤った。
また失業率が低下し、かろうじてGDP成長率零から脱した。

しかし、この間にマイナス面も際立つようになった(予想通りでした)。
D.国民(労働者)の賃金と家計消費支出は長期に低下している。
E.格差拡大(再配分前のジニ係数、貧困率)、家庭の食費増大(エンゲル係数)、低賃金の非正規割合の高止まり。
F.現在バブル崩壊が起きつつあり、場合によってはリーマンショックを上回る金融危機に見舞われる。

皆さんはどう評価しますか?

現状を好感し、将来に期待する人はプラスに評価するでしょう。
一方、現状をプラスマイナスゼロと見なし、悪化に危機感を抱く人はマイナスに評価するでしょう。

一つ明確なことは、バブル崩壊が始まれば、過去半世紀の経緯から見て巨大な金融危機が起こり、これまで10年間の繁栄が吹っ飛ぶだけでなく、むしろ深刻な不況が長く続くことになる。
前回のリーマンショックに比べると、日中米英の貨幣供給量が並外れて大きく、中国経済の崩壊、支離滅裂なトランプが加わり、危機を最大化させる可能性がある。
特に日本は世界初レベルの金融緩和を行い、米中経済と関りが深い為、これまでにない不況に陥る可能性がある。


一言
ここで「鶏が先か、卵が先か」に答えます。

ケインズがそれまでの供給から需要を優先すべきとして成功した20世紀前半の米英の政策転換がヒントです。
鶏は企業、供給であり、卵は労働者、消費需要だと理解すれば答えは明瞭です。
つまり、この数年間のアベノミクスは1980年代以降の世界をデフレ、高失業率、格差拡大に陥れた金融優先と自由放任主義の物真似に過ぎない。

見え難いが将来禍根を残す問題とは何か?

一つは円安で旧態産業の延命を図ったこと。
その上で、離職時の支援と賃金低下の歯止めを行わず、労働者の流動性だけを高めたこと。
本来、経済先進国は自国通貨高に応じて、産業構造の革新とそれに並行して労働者の流動性を高めるべきでした(かなり困難だが北欧は成し遂げた)。
移民の問題も同様に片手落ちで、欧米のように将来禍根を残すことになる。

結局、このままでは日本では既得権層が優遇され、多くの国民は疲弊して行く末路にある。


次回に続きます。



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