Sunday, March 26, 2017

何か変ですよ! 55: 何が欠けているのか





*1


今、籠池氏の発言(森友学園への格安国有地払下げ問題)で野党は色めき立っている。
一方、与党は毅然と構え、国民は蚊帳の外に置かれている。
ここには何かが欠けている。


はじめに
結論から言えば、これは些細な問題に過ぎず、このようなことに議会が精力と時間を掛けるべきではない。

確かに、これは本質的で深刻化している政治状況の一発露ではあるが、これ事態を追及しても、違法性を確認することは難しいだろう。
ここは与野党共に無駄な努力をせず、早急に事を治めるべきです。
国民はゴシップ記事のようなつまらない事件に振り回されるべきではない。

むしろ、国民はこの事件から見えて来たある政治状況に気づき、またマスコミや野党はもっと将来を見据えて行動すべきです。


この事件のポイント
真相解明は半ばで、この先も確たる証拠は出てこないでしょう。
だが、あえて私はこの事件のポイントを要約しておきます。

A: 保守的な一教育者が政治家をうまく利用しながら事業を拡大して来た。

B: 保守的な内閣が誕生し、強力な体制を構築した。

C: 身に降りかかる事件が発覚すると首相は強気の抗弁をした。

D: 批判的なマスコミと野党がこれを追及し、主役を吊るしあげた。

E: 主役は開き直り、今までの経緯を全面的に開示した。

F: 関与している政府や議員、官僚から都合の悪い資料は一切出て来ない。
そして泥沼試合となった。




*2


簡単に考察します
この経緯を見てみると、取り立てていうほどの犯罪的で重大な問題はないように思える。

A
この手の政界絡みの便宜供与は従来から、特に長期政権の与党にはつきもので、贈収賄などの犯罪で摘発されるのは氷山の一角に過ぎない。

B
今回のような事件が起こる状況は当然進んでいる。

最近の文科省の天下りの常態化からも察せられるように、官僚や議員の振る舞いはは益々官邸の姿勢で決まります。
つまり官僚が忖度し便宜を図るようなことは今後益々常態化するでしょう。
日本の政治はジバン(地盤)、カンバン(看板)、カバン(鞄)で成り立っているのであり、それが集中化するだけです。

C
現首相の強弁、常識的には虚言と思われる発言が、歴代首相の中では目立つはずです。
「強行採決はしたことが無い」「憲法改正の発議は私と無縁」とか。

D
嘆かわしいのですが、誰かれなしに叩き、運よく行けば現内閣を倒せると目論んでいる。
これで内閣が倒れて、誰が替わって政権を担当するのか?
今の野党に、より良い経済政策や外交政策があるようには思えない。

おそらく多くの国民は、将来、日本が軍事大国化しようが、分裂気味のトランプに追従しようが、直ぐ先で景気が良くなり、米国が日本を守ってくれることの方を望んでいる。
これが正しい判断かは別だが、少なくとも野党はこの望みを叶える方策を提示できない。

E
証人喚問での主役の言動を見ると、保守人としての誇りを失わず、堂々と権力の理不尽さに立ち向かう姿が印象的でした。
私は彼の思想ややり方に賛同出来ませんが、トカゲの尻尾切りにされている状況に同情したくなる。
バレなければ、強力な保守政権だからこそ、ぬくぬくと甘い汁を吸えたはずなのに。

F
これは正に、日本の政治文化で最も重大な欠点の一つです。

財務省が許認可を行った経緯の議事録を破棄したと堂々と発言していることです。
このような事例は、最近のスーダンの陸自日誌破棄事件や古くは福島原発事故の記録公開などのように、国民やマスコミには政府や官僚の行動をチェックする方法が断たれていることを示す。
また秘密保護法などで、さらに都合の悪い政府側の資料が出て来なくなっている。



何が最重要な問題なのか?
大きく二つあります。

一つは、マスコミと野党の追及姿勢です。
今回の追及は益なしで、むしろ弊害の方が大きい。
国民の多くは現内閣を信頼しており、その信頼を突き崩すことに躍起になるあまり、度を越して追及すればするほど、逆効果になる可能性がある。

日本がかつて治安維持法を採択した経緯の中に、当時のマスコミや野党が政府のあら捜しで国民を煽り過ぎて、逆に暴徒化を鎮圧する口実を政府に与えてしまったことがあった。
ここまでは行かないだろうが、行き過ぎは世論を激しく左右に分裂させてしまい、米国のようにポピュリズムで極右のトランプ政権誕生に繋がった。
この傾向は欧米で顕著になっており、さらに危険な状況を生むことになる。


今一つは、政府や官僚の情報公開です。
日本には、都合の悪い議事録を遺さない、また内部告発を行わない組織文化があります。
法律はこれらを改善しようとしているのですが、進んでいない。

さらに悪いことに、ここ数年、日本は米国に追従して、情報を益々秘匿する方向に向かっています。

これらはやがて、日本の政治を取返しのつかない方向に追い込むことになるでしょう。

どうか、皆さん細かいことに目を奪われずに、大局を見て頂きたい。






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