Friday, September 25, 2026

 短縮版 迫る多難な危機  第三章 3-3,3-4

  



「一時の自己満足の為に人類を破滅させては、神も悲しむだろう」

 

この短縮版は、既に投稿済みの「迫る多難な危機」を、少し内容を割愛、分割して連載します。

 

まえがき

 現在、深刻な危機が同時多発的に地球と人類に迫っています。特に、この20年あまり、一部の大国が身勝手に振舞って来たことでより加速しています。今、私達が立ち上がらないと、子孫に顔向け出来なくなる。家族と世界を再び幸福にしましょう。Make the world and people happy again!

 

 

--- 目次  ---

第3章 我々が直面している危機

 3-3 現在の経済格差、最悪になった米国と大幅に改善された世界

 米国を見ます            

 それでは世界全体はどうなったのか? 

  まとめ

 3-4 これから起きる金融危機に備えて

 金融危機のからくり

 

   


第3章 我々が直面している危機

 

 我々に幾多の大きな危機が迫りつつある。それらには歴史上繰り返され来た危機や、まったく未知の恐ろしさ秘める危機もある。これらの危機を見極め対処しなければ、一国の疲弊や破綻に留まらず、遂には人類と地球に大きな損害を与えることになるだろう。数多くの危機の中から、最重要なものを選んだ。

 

3-3 現在の経済格差、最悪になった米国と大幅に改善された世界

 

米国を見ます

 米国は先進国中、経済格差最悪を更新中です。これは米国が新自由主義を最も信奉し牽引して来たからで、今後も止むことは無いでしょう。米国は、産業・経済・軍事・外交で世界を牽引しているが、政治と社会の内実は悲惨です。

 

経済格差: 最低所得から人口80%の年収層は50年近くで1.6~1.8倍に伸びた、しかし上位5%の高年収層はさらに2倍伸びた。その結果、上位5%の所得は下位20%の約10倍になった。上位1%の資産保有者による国内総資産の保有割合は、1989年の22.8%から2025年の31%に上昇。これに比べて、下位50%の保有割合は、1989年の3.5%から2024年には2.8%にまで減少した。

 

 

貧困: 上図の棒グラフが貧困人口を示す。レーガン政権の前後で、貧困人口は凡そ2500万人から3500万人に急上昇し、その後、定着している。

 

世界幸福度ランキング: 2013年、米国の幸福度は17位でしたが、2025年には過去最低の24位に落ち、先進国中でも低い方に定着しつつある。政府の信頼性も米国はOECDの平均よりも低く、30位前後に低迷している。

 

自殺率: 2000年の年齢調整済み自殺率は人口10万人あたり10.4人でしたが、2018年には14.2人まで上昇した(35.2%増)。特に高齢男性や若年層での増加が顕著で、富裕国の中でも高い。ちなみに自殺率が高い日本は、2024年で16.3人でした。

 

米国の状況はかなり悪くなってしまった。だからポピュリズムが沸き立つようになった。

 

 

 

それでは世界全体はどうなっているのか? 

 

 国際分業による生産性向上・価格低下が起こった。これは新興国(中国・ASEAN等)の急速な輸出産業の拡大と工業化を生み、その結果、世界全体の貧困人口が大幅に減少した。例えば、世界の極度の貧困率(1日2.15ドル未満で生活者/全人口の割合)は1970年の約60% から2020年代には約9%へと大幅に低下した。これは世界の貿易額/GDP比率が1970年の27%から2008年の61%への急上昇に現れている。これに伴って技術・資本・知識・人材の国境移動が加速した。この10年間で世界の最下層は70%も所得を増やし、富裕国では40~15%の増加に留まった。重要な事は、グローバリズムは発展途上国などの経済力を高め、国民所得を急速に上昇させたが、一方で、先進国の中間層以下の所得の伸びを低下させたことです。新興・途上国の経済シェアが20から40%へと拡大している。経済背長は先進国よりも新興・途上国の遥かに高いのです。世界全体で経済格差縮小と豊かさが訪れた原因のすべてが、グローバリズムのお陰とは言えないが、欠かせないものだった。世界GDPに占める世界貿易シェアが約25%から60%へと拡大し、グローバリズムの影響の大きさが伺える。米国では資産が30~60兆円の超富者が生まれた反面、多くの人は30年ほど所得は横這いに近かった。

 

まとめ

 二つのことが明確になった。一つは先進国(特に新自由主義を1980年代から積極的に取り入れた国々で、代表は日英米)で格差が急拡大した。一方、世界全体は豊かになった。ここで注意が必要なのは、米国などの国内の経済格差を起こしている真の原因は何かと言う事と、米国民はそれを誤解せずに知っているかと言う事です。

 結論から言うと、真の原因は、新自由主義政策で、レーガンとサッチャー政権以降に、米英の格差が拡大傾向になっていることから明らかです。

 

幾つかの悪化の原因について要約:米国を念頭に

 

A 国内の産業空洞化; 大戦後、多くの製造業が海外に移転するようになりました。しかし、世界の経済発展は国内にあらたな産業を生み出し、米国も含めて総就業人口は増え続け、失業率も長期的に低下傾向にある。

 

B IT革命; 1990年代中頃から始まったこの影響で、事務職等で失業が発生したが、これまた新しい職業が増え、全体として、総就業人口の低下はなかった。しかしグローバル化とIT革命の相互作用により、賃金は二極化し、賃金格差は広がった。

 

C 自由化と規制撤廃; 80年以降の金融市場拡大と多くの規制撤廃は、一人勝ちを生み出し、富が富を生むようになった。この現象は複雑だが、例えば80年代の全企業の利益に占める金融セクターの利益は10~15%でしたが、2000年代半ばにはこれが40%に達し、現在は20~25%で推移している。金融セクターのGDPに占めるシェアは7%前後に過ぎないのだが。金融資産残高で見ると、80年代はGDPの4.5倍だったが、現在はGDPの10倍に迫る。つまり金融資産で投資を繰り返すことが出来る人は幾何級数的に富を増やせる。所詮、金融資産は国がいくらでも発行出来る貨幣(価値)に過ぎないが、これに便乗できる者は濡れ手に泡である。

 

 

 

 

D 福祉と労働政策の後退; 80年代以降に国民を苦しめる施策が始まった。累進課税の縮小、企業や富裕層への優遇措置、タックスヘイブンへの資金や税金の海外逃避がより富裕者を富ませ、税収が大幅に減少し福祉予算に廻せる余裕は無くなった。また労働組合の弱体化は賃金上昇を阻んだ。失業と転職対策の不備は、グローバル化とIT革命に対応できない労働者を苦境に追い込んだ。また福祉政策の交代は、差別されている人々や失業した家庭が再起する機会を奪った。これらは低所得者に厳しい施策です。現実にアメリカンドリームが廃れていっているのが確認されている。

 

E 移民労働者; 移民労働者が80年代から2020年半ばまでに5000万人が米国に流入し、総人口比は14.5%になり、増加傾向にある。これが経済に与える影響は概ねプラスです。労働力と消費、さらに納税が増え、経済は上昇し、財政赤字が減る。また高齢化を是正する事にもなる。しかし不安材料もある。一部の低技能作業で仕事の奪い合いになり賃金低下が起こり、また地方自治体の公共サービスや行政費が上がる可能性があるが短期的な影響に留まるとされている(移民の子供が税を負担する)。

 

 これら5つの要因が、米国の格差拡大を生み出している。一言でいうと、金持ちはより金持ちになり、弱者と貧しい者は取り残される社会を政治が作り出したといえる。一番分かり易いのは、産業構造が変化するのなら失業者は当然生まれる、そこで転職と教育で労働者を援助すれば、これほど大きな問題にはならなかった。北欧はこの問題を解決してきたからこそ、幸福度と一人当たりGDPを共に勝ち得ているのです。少なくともグローバル化だけが悪いのでは無い。移民問題も同様に、経済や格差に大きな影響を与えていない。問題の本質は、多くの米国民が真実から眼を逸らされていることにある。

 

 

 

3-4 これから起きる金融危機に備えて

 

 米国の株価は絶好調です。もし、あなたが1993年にS&P500を買っていれば2026現在の評価額は18倍になっている。配当金を含めると32倍で、年利11%にもなる。これでは投資しない方が愚かに思える。ところが富裕層以外にとっては困難な問題が付き纏う。

 

 

 普通、年金や保険の資金の何割かは株式で運用される。しかし株は乱高下し、世界大恐慌で89%、ITバブルで83%、リーマンショックで57%下落した。つまり、高値で買うと1/10~1/2に資産を減らす。何時が買い時なのか? このグラフを見ると、うかつに手を出すのが怖くなる。基本は余裕資金での長期運用です。

 しかし金融危機の怖さは、株による損だけでは無い、中間層以下が長期にわたり困窮する羽目になることです。リーマンショック時、米国で起きたこと。8兆ドルの家計資産が消滅、600万件の住宅が差し押さえられ、800万人の失業(失業率は10%)、数百万人が医療保険を失い、自殺者は5千人増えた。米国で無保険は病院に行けず、場合によっては死の宣告に等しい。

 


 ところが、富裕層にとってはバブル崩壊後の景色は異なるのです。左のグラフは米国の所得階層毎の所得の推移を示しています。2000年のITバブル後に注目します。上位トップ1%は飛び切り増やし、上位10~20%も増やしています。下位80%では所得が戻るか、低い層ほどさらに減り、30年ほどで、ダラダラ下がり続けている。

 

 政府は金融産業の規制を避け、投機が旺盛になり、バブル崩壊が続く為に、格差が拡大している一面もあるのです。バブル崩壊時に、富裕層が素早く所得を挽回出来る大きな理由は、政府が大企業を潰さないために、リーマンショックでは救済金100兆円程をつぎ込み、景気回復に巨額資金を金融企業等に重点的に注入するためです。



 こうして米国は群を抜いて、経済格差が大きいのです。つまり、格差は人為的なものです。同じ資本主義ながら、経済システムを適正に行えている北欧で格差が少ないのは当然なのです。如何に金融危機が恐ろしいかが分かっていただけたでしょうか。

 

 

 

 

---全体の目次---

第一章、世界に迫っている危機の要約。

第二章、人類はこれまでに危機に対してどう対処して来たか。 

第三章、我々が直面している重大危機。

第四章、米国の衰退と世界の危機回避能力喪失は一体。

第五章、如何にあるべきか。

第六章、成功している北欧は資本主義のもう一つ道。

 

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