Sunday, June 21, 2020

世界が崩壊しない前に 32: コロナに見る日本政府の危機管理 2



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今回、はからずも行政サービスの稚拙さから腐敗と癒着の体質が露呈した。
さらに経済政策の根本的な欠陥も浮かび上がった。



 
< 2.アジアでも遅れをとった日本 >


* 行政サービスと経済政策の問題 *

今回、致命的な体質が露呈した。
1. 国民向けの経済施策は政府の念頭に無い。
2. 国民向けサービス体制は手詰まり。


当初、政府は復興と銘打って牛肉券や旅行クーポンを高らかに謳った。

これは弱っている業界を助け、その出費の大半が余裕のある人々の懐から出ることになり、一挙両得だと好感する人もいただろう。

実は、これは経済理念と国民目線の無さを示している。

これでは本当に苦境に陥った店舗の救援が出来ず、また裕福な人の節約を助長するだけです。
例えば、政府が復興の為と称して、ダイヤモンドや世界一周クルーズの購入費を半額負担すると言っているに等しい。
結局、ふるさと納税と同じ人寄せパンダで、自民党に群がる業界団体を潤し、逆累進課税にもなる。

必要なのは他の先進国が実施ているようなコロナにより困窮している事業体や失業者への素早い直接給付です。
日本では、なんとか一律10万円給付が成った。

経済対策の遅れを見ていると、政府が国民の経済弱体化を甘く見ていることがわかる。
政府は、放置することにより国民と事業体が、失業・倒産・大学中退などで再起出来なくなることを意に介していない。

一方、日銀は金融不安払拭の為に株式の爆買いを加速させ、金融緩和に邁進している(米国でも)。
これは更なる金融危機の芽を大きくし、結果的により巨大なバブル崩壊が襲い、大規模な倒産と失業、そして格差拡大が圧し掛かるだけです。
ここ60年繰り返してきた。


なぜこんなことになったのか?

一にも二にも、政府の経済政策が、産業界をリードする大企業と金融界を優遇することだからです。
国民の事は二の次三の次に過ぎに成り下がった(この問題はいずれ説明します)。


もう一つの問題は、持続化給付金支給などに見られるサービス体制の欠陥です。

今回、パソナや電通がほとんどのサービス業務で幾度も中抜きをしていることが露見した。
両社は以前から政府と癒着し、巨大な利権と実権を握り、非正規問題とマスコミ支配と言う日本の二大悪を担って来た。
両社を経由した業務がお粗末になるのは必然です。
これは国民へのサービス体制の不備と言うより、根絶しなけらばならない自民党・官僚の腐敗・癒着の構造です。

しかし問題の根はさらに深い。

それは1980年代から自民党と官僚が共同で推進して来た、偽りの構造改革・緊縮政策の一つの結果です。
ポイントは、公務員を減らし民間委託に奔走したことです。

既に日本の雇用者に占める公務員比率はOECD諸国の最低になり、平均の1/3に過ぎない。
だが減って当然の巨額の特別会計は減らず、行政の改善も見られない。
つまり、無数の外郭団体と民間(政商のパソナや電通など)と言う隠れ蓑に予算は食い尽くされ続けている。

さらに悪い事に、このサービスは以前の体制より遥かに非効率になっている。
そこでは、一部の天下りが高給を貪るが、多くの従事者は非正規に代えられ、薄給と不安定な身分に落とされ、意欲とスキルは低下し続けている。
あらゆる省の外郭団体、第三セクターが劣化の危機に晒されている。
民間ともなれば、従業員はさらに規制の無い過当競争に晒され、全てが劣悪になる。

これが現在、日本を覆い尽くす政府による国民サービスの実態です。

この問題の本質は、見かけの改革だけで政府・官僚・政商の腐敗と癒着が強固になり、さらにその不透明さと隠蔽により、全貌が掴めなくなったことです。

特に日本は米国流の自由放任経済に加えて、自民党長期政権を放置したことが災いしている。
このような状況で、様々な地球規模の危機に対応出来るはずがない。


次回に続きます。




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