Monday, December 8, 2014

何か変ですよ 33: 困難な選択 1

 
    

現状を追認する形で、与党圧勝になるだろう。
ここで基本的な問題を振り返り、将来を少しうらなってみましょう。

基本的な問題とは
     日本経済の低迷と復活
     政治風土
     資源の枯渇と温暖化
     平和と安全

戦後日本は、これらの問題にどう対処したのだろうか?
今後、どうなっていくのだろうか?
簡単に見てみましょう。

日本経済の低迷と復活
なぜ日本は70年代の高度経済成長後、30年程をかけて経済成長率が0%になったのでしょうか?
高齢化、労働人口の減少、それとも円高、デフレのせいでしょうか?
おそらくこれが主原因だと指摘し、明快に処方箋を提示出来る経済学者はいないでしょう。

低迷の原因は何か?
労働人口の減少は先進国で必ず起きてしまうのですが、日本の対策は欧米に比べてかなり遅れた。
円高は、1985年のプラザ合意に始まった日米協調の足枷が一番の理由です。
日本政府にとって共同体である米国のドル安は絶対だった。
デフレを日銀単独の陰謀か無能によるとしていますが、これもおかしい。
日銀総裁は大蔵省との交替人事で、常々、政府と一体でした(原則不可)。
確かに、経済先進国の中でリフレ策を取らなかったのはドイツと日本ぐらいだった。
しかしおかげでリーマンショックの影響は少なかったのです。
この日銀の姿勢は、今次大戦に至る日銀券乱発を反省してのことだった(恐れ過ぎか)。
当時の商工大臣岸信介はよくご存じのはずです。

つまり、すべて、政府与党と官僚が認識した上での所業だと考えられます。
それでは、戦後、政府は無策だったのでしょうか?

例えば、政府の公共事業(財政出動)は欧米の財政規模に比べ2倍程あり、多年にわたり続けて来ました。
経済理論では、財政出動15兆円の数倍、例えば年間30から60兆円の経済浮揚効果があるはずでした。
しかし、欧米は効果を期待出来ないとし、早々と縮小しました。
現在、おかげで日本の累積赤字が1000兆円を越えるまでになりました。
日本政府が無策だったとは言えません、一時は「日本は最高」と言われた時があったのですから。

結局、残念なことに真因を掴めていないのです。
マンネリに堕ちていく中で、今回、藁を掴むつもりでリフレ策に飛びついたのです。
真因はマンネリ(経済構造、企業家心理、政治運営など)の中にあるのですが・・・

将来、どうなるのでしょうか?
円安とリフレ策、膨大な累積赤字について簡単に見てみましょう。

円安操作
現在、日銀の量的緩和策(日銀券の増発)が進んでいます。
理屈では、他国に比べ一国だけが中央銀行券を増発すると、その国の通貨は安くなり、インフレも起きます。
しかし、現実はそう単純ではありません。

懸念材料
     困難な制御: 継続すれば長期的には円安になりますが、過去の為替の推移を見ていただくとわかりますが、短期的(数年間)には別の要因で乱高下します。

     他国との協調: 円安(円高に振れないこと)にメリットはあるが、実は何処の国も自国を通貨安にしたいのです。つまり日本が為替操作によって円安メリットを享受し始めると、海外から是正圧力がかかります。これは歴史が示すところです。

     趨勢に逆行: 現在、日本の大企業の生産は海外に重点が移っているので、円安で海外からの還元利益は増大するが、それほど国内生産が増えるわけではありません。円安のメリットが生まれるには、企業家が将来も円安が確実に定着し、国内に生産拠点を再投資しても良いと判断しなければならない。しかし経済史をみると、経済先進国は通貨高になり、国力が衰えると自然に通貨安になっています。経済大国で、生産拠点が大挙して戻る事態は、世界を見回してもない。つまり輸出工場が戻ることは考えにくい。

     産業淘汰: 円安は輸出にはメリットですが、輸入にはデメリットです。当然、輸出額と輸入額は均衡しているのですから、得失は相殺されるはずです。おそらく一時、消費者と中小企業が我慢すれば(消費減と倒産)、円安定着後には大手輸出企業の繁栄から国内経済が良くなると考えるのは無理からぬことです。しかし、よくよく考えてみると、一時我慢し、産業構造の転換(適応出来ない産業は淘汰される)が図られるのなら、実は円高も同様にメリットがあるのです。つまり為替変動が大きくなると、産業や企業淘汰(倒産、失業)がついて回ります。貿易経済である限り、必然なのですが。





    


何が重要だったのか?
円安について言うならば、理想の状態は、プラザ合意(1985年)以前の状態に戻ることです。
1980年代前半の為替は250円/ドルで、GDP成長率はまだ4%程ありました。
当然、当時の産業構造(国内に輸出企業が残っている)に戻っていることが必要です。
その後、円高と共に、GDP成長率は0%へと向かったのです。

結局、時の政府は、なぜかチャンスを自ら逸したのです。
彼らは、けっして無知では無くて、ある事情で出来なかっただけなのです。
小手先で過去の失策を取り戻すことには無理があるのです。

残念ながら、今次の大戦下で、政府主導(商工省)による中小企業の下請け構造が生まれ、それが継続していますので、円安操作のしわ寄せは一方的になるでしょう。

本来、ゆっくりした為替変動に応じて経済構造を変化させることが重要なのです。
円安や円高自体が悪魔ではないのです。

次回は、リフレ策を解説します。




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